2019 Fiscal Year Annual Research Report
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19J00195
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
山谷 浩史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 次世代作物開発研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | ダイズ / 葉老化 / 青立ち |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイズにおいて収穫期に茎葉が枯上がらず、緑色が残る現象は青立ちと呼ばれる。青立ちは収穫時の汚粒の発生や青立ち株の除去など、品質低下やコスト増に繋がる不良形質である。そのため、青立ち現象の遺伝的抑制が望まれているが、分子メカニズムをはじめその抵抗性を付与する有効な遺伝子の報告はなく、重要な研究課題といえる。本課題では、ダイズの青立ち抵抗性品種育成への分子基盤の構築を目指す。 本年度はバルクDNAの次世代シーケンサー解析により、早枯系統の原因遺伝子を特定したところ、葉緑体局在のタンパク質にアミノ酸置換が生じていた。また、別の早枯系統の原因遺伝子を調べたところ、同一の葉緑体局在のタンパク質にprematureな終止コドンが生じていることが分かった。次に両早枯系統について交配による相補性試験を行った結果、両方のアリルをヘテロでもつ個体も早枯の表現型を示したことから、同一遺伝子の変異体であることを証明した。これらの結果、原因遺伝子は葉緑体局在のタンパク質をコードすると考えられる。今後このタンパク質の機能を明らかにするために遺伝子発現解析やタンパク質解析など詳細な機能解析を行う。青立ち抵抗性QTL qGSD1/qGSS1の原因遺伝子を単離すためにタチナガハと候補領域が青立ち抵抗性に置換した部分置換系統(qGSD1-NIL)のF1を作成し、自家受粉させてF2集団を作成した。次年度に圃場にF2を展開し、ファインマッピングを行い原因遺伝子の特定を行う予定である。また、摘莢により擬似的に青立ちを誘導し、その時のトランスクリプトーム解析を行った。得られたデータは現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者の研究は青立ち抵抗性品種育成への分子基盤構築である。そのうちのひとつのテーマであるダイズ早枯突然変異体の原因遺伝子は次世代シーケンサーを用いた解析により単離に至った。この成果は日本育種学会で発表を行ったため、おおむね順調に進展しているといえる。今後、より詳細な機能解析を行い、論文投稿を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
早枯変異体の原因遺伝子の機能を明らかにするために光化学系I、光化学系II等のチラコイド膜タンパク質やストロマに局在するルビスコタンパク質などの葉緑体タンパク質の蓄積量をウエスタンブロット法やBlue Native法により解析する。また、原因遺伝子の組織の発現パターンや葉老化誘導時の老化関連遺伝子発現の経時的変化調べる。qGSD1/qGSS1の原因遺伝子を単離するために作成したF2を用いてポジショナルクローニングを行う。トランスクリプトーム解析により、青立ちの誘導時に発現が変化する遺伝子を調べる。
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