2020 Fiscal Year Annual Research Report
連星中性子星合体から数時間後の電磁波対応天体から迫るブラックホールの活動性
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19J00214
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 達矢 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 高エネルギー天体物理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に引き続きイスラエル国ヘブライ大学にて在外研究を行った。主に超巨大ブラックホールが引き起こす高エネルギー現象として、(1)天の川銀河中心で発生する近赤外線の増光(フレアと呼ぶ)の原因に関する研究、(2)潮汐破壊現象と呼ばれる天体現象で可視光放射がどのように行われるかを検討する研究を行った。さらに、(3)短いガンマ線バーストと呼ばれる突発天体の電波観測から、強磁場の中性子星が形成されたかを制限する研究を行った。 (1)では2018年に行われた観測をもとに、フレアが発生時に近赤外の点源がブラックホール周囲を周回運動している軌道について複数の理論モデルを構築し、どのようなモデルが観測をもっともうまく説明するかを検討した。その結果、点源は発光する物体というよりもブラックホール周囲の流体で波動が駆動され、ブラックホール周囲を伝搬する際に発光している部分に対応している可能性があることを指摘した。 (2)では可視光突発天体で可視光放射領域が普遍的に成り立つ状況(光子の拡散)をもとに、観測量から放出物質量を見積もった。その結果、広く受け入れられている円盤風からの放射モデルに制限を与えた。 (3)では連星中性子星合体後の残骸天体について強磁場中性子星の兆候は見いだせなかった。 これらは研究計画の対象であるブラックホールの引き起こす高エネルギー現象について、その理解様々な観測結果からその発生機構に迫るものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
連星中性子星合体が引き起こす短いガンマ線バーストを主な研究対象としていたが、本年はその範囲を拡大し、超巨大ブラックホールの引き起こす高エネルギー現象について研究を行い、知見を深められたのは大きな進展である。また、ガンマ線バーストの観測チームと共同で研究を開始することができたのも、今後のさらなる研究に進展する。
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Strategy for Future Research Activity |
潮汐破壊現象について、可視光だけでなく様々な波長でも観測が行われており、それらの観測結果を総合的に解釈して、整合的なモデルに繋げられるような研究を行いたい。また、多様な可視光突発天体について構築した手法を応用し、爆発メカニズムを検討したい。
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Research Products
(7 results)