2020 Fiscal Year Annual Research Report
加齢卵子のジェネティクスとエピジェネティクスな異常の同定とその治療
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19J00238
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
伊丹 暢彦 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, 特別研究員(PD) (20849616)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 卵 / 加齢 / 胎盤 / インプリント |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は初年度までに、加齢個体卵由来胎盤では若齢卵由来と比較して胎盤重量が増加することを見出した。そこで本年度では胎盤重量が増加した要因を調べるため、E19.5の若齢・加齢卵由来胎盤5個ずつを用いてRNA-seqを行った。差次的発現遺伝子解析を行ったところ、加齢卵由来胎盤で260の遺伝子発現が低下しており、272の遺伝子発現が増加していた。胎盤形成に深く関与するとされる胎盤特異的インプリント遺伝子の発現は加齢-若齢間で差は見られなかったが、canonicalなインプリント遺伝子であるSlc22a18とGNASにおいて、加齢卵由来胎盤で発現が上昇していた。特にGNASは、解析に用いた個々の胎盤重量と遺伝子発現の間に高い相関関係が見られたことから、加齢卵由来胎盤の過形成に影響を及ぼしている可能性が考えられた。また、マウス胎盤形成に関連する遺伝子の中から、Rspo3、Synb、Hes1の発現が加齢胎盤で上昇していることがわかった。これらはいずれも胎盤迷路部の血管形成や分岐に関わっており、加齢卵由来胎盤で見られたスポンジオトロホブラストの増大と直接関連は無いと考えられるものの、興味深い発見である。また、加齢卵由来胎盤ではDNAのde novoなメチル化酵素であるDnmt3bの発現が低く、発現量と胎盤重量の間に有意な負の相関があることが観察された。これらのことから、加齢卵由来胎盤ではDnmt3bの発現低下に端を発したDNAメチル化レベルの低下により遺伝子発現が変動し、これが胎盤形成異常の原因になっていることが推測された。今後は胎盤で遺伝子発現が変動した領域のDNAメチル化レベルや、卵の遺伝子発現変動について解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は2年目に、加齢卵由来胎盤内で起きている遺伝子発現の変動をトランスクリプトームデータから見出すことができた。中でもインプリント遺伝子や胎盤形成に関与する遺伝子、更にメチル化酵素遺伝子の発現変動を検出できたことは、今後の実験に向けて大きな収穫であったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は胎盤で遺伝子発現が変動した領域のDNAメチル化レベルを解析する。また、胎盤で遺伝子発現やメチル化レベルが変動していた領域にターゲットを絞り、卵を対象に同様の解析をする予定である。
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