2019 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム編集法に基づく生体内網羅的スクリーニング法の確立とT細胞生成機構の理解
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19J00248
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
室 龍之介 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | CRISPR/Cas9 / 胸腺 / スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
T細胞研究は数十年にわたる活発かつ競争的な研究の歴史をもつが、T細胞生成機構の全容理解には未だ至っていない。高度に設計されたsingle guide RNA(sgRNA)ライブラリーやCas9ノックインマウス(KI)の開発により、CRISPER/Cas9法による全ゲノム遺伝子を対象とするスクリーニング系が確立されている。本研究では、sgRNAライブラリーとCas9 KIマウスを用いた生体内スクリーニング法を確立し、未熟T細胞から成熟T細胞に至る過程で必要とされる遺伝子ならびに正負の選択に必要な遺伝子を網羅的に同定 することを目的とする。 本スクリーニングは、遺伝子をランダムに欠損する骨髄細胞の樹立とそれらを用いた骨髄キメラマウスの作成、次世代シークエンサーによるsgRNA配列の集計からなる。研究代表者は、レンチウイルスによる骨髄細胞へのsgRNA導入および、骨髄キメラマウスの作成に成功した。胸腺へ移行する骨髄細胞数を次世代シークエンサーによって定量したところ、700~800程度の骨髄細胞が胸腺へ移行し、T細胞へ分化することが推定された。また、導入されたsgRNAが機能するかを検証するために、T細胞の分化に必須とされるZap70に対するsgRNAを導入したところ、著しい胸腺T細胞の分化障害が観察された。 したがって、スクリーニングを実施するための研究基盤が整備されたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、レンチウイルスによるsgRNAの骨髄へ導入や、骨髄キメラマウスを作成することに成功した。さらに、sgRNAが標的配列を切断し、目的のタンパク質の機能をin vivoで欠損させることに成功した。したがって、本研究における基盤的技術が確立したと言える。 また、次世代シークエンサーを用いた予備的検討から、骨髄から胸腺へ移入する細胞数を推定することができた。本スクリーニングによって解析可能な遺伝子数を推定することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針として、胸腺T細胞に高発現する遺伝子をデーターベースから検索し、スクリーニング対象とする遺伝子候補を絞り込む。そして、独自のsgRNAライブラリーを作成し、本スクリーニングを実施する予定である。 さらに、Cas9 KIマウスとTCRトランスジェニックマウスを掛け合わせることで、単一のTCRを発現するT細胞を用いてスクリーニングを実施する予定である。これによって、遺伝子欠損による胸腺T細胞の正負の選択への影響をより高解像度に解析することが可能になると考えられる。
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[Journal Article] Soluble RANKL is physiologically dispensable but accelerates tumour metastasis to bone.2020
Author(s)
Asano T, Okamoto K, Nakai Y, Tsutsumi M, Muro R, Suematsu A, Hashimoto K, Okamura T, Ehata S, Nitta T, Takayanagi H.
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Journal Title
Nature metabolism
Volume: 2111
Pages: 193-203
DOI
Peer Reviewed
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