2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study on quantum invariants via graphical calculus and its applications
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19J00252
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
湯淺 亘 京都大学, 数理解析研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 量子トポロジー / スケイン代数 / 色付きジョーンズ多項式 / クラスター代数 |
Outline of Annual Research Achievements |
次の(1)--(3) の研究を実施し成果を得た。 (1)前年度から取り組んでいた1行のヤング図形で色付けされた sl_3 の結び目の量子不変量に関する公式を用いて sl_3 の結び目の量子不変量の極限として得 られる tail と呼ばれるq-級数の研究を行った。特に、ある絡み目のクラスにおいて1行の sl_3 量子不変量の tail が存在することを示した。この結果を論文 としてまとめ、プレプリントとして arXiv に投稿した。この研究は、結び目の sl_3 に関する tail の研究の第一段階の目標であった。 (2)石橋典氏との共同研究で曲面の量子クラスター代数と曲面の sl_3 スケイン代数の研究を行った。この研究では、sl_2 の場合に Muller により示されてい た量子クラスター代数とカウフマンブラケットスケイン代数に関する定理の類似を sl_3 の場合に行った。さらに、量子クラスター代数の quantum Laurent positivity を証明した。この研究は高次の場合の量子クラスター代数とスケイン代数を研究する上で第一歩となる研究だと考えている。この共同研究を論文と してまとめ、プレプリントとして arXiv に投稿した。(3) sl_3 スケイン代数にフィルトレーションを定義し、その次数商から得られる代数が量子アファイン空間と同型であることを示した。この研究は曲面の高 次ラミネーションの空間に関連する研究だと考えている。 これらの研究はスケイン代数と量子クラスター代数の対応を通して、低次元トポロジーと表現論や組み合わせ論が密接に結びついて、相互に発展する有意義な研 究だと考えている。 上記の研究に関して、オンライン開催の国際研究集会などでも招待講演を行った。国内の研究集会やセミナーでも招待講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
結び目の量子不変量である色付きジョーンズ多項式の極限として得られる tail の研究に関して、sl_3 に対応する1行色付きジョーンズ多項式の tail の存在を ある絡み目のクラスに対して証明した。この結果は sl_2 の場合に同様のクラスで証明された結果に対応しており、まず第一目標として考えていた結果である。 この結果は、一般の sl_n に関する絡み目の1行色付きジョーンズ多項式の tail の存在定理の研究へと繋がる可能性を示唆している。 研究目的に掲げていた他分野間の繋がりを明確にして、新しい発見をするという点においては石橋典氏行った共同研究が挙げられる。この共同研究では sl_3 における曲面のスケイン代数と量子クラスター代数の関係を明確にし、Laurent positivity という現象を証明した。この研究によって、結び目理論と表現論、組み合わせ論が曲面のスケイン代数と量子クラスター代数を通じて繋がったと考えている。この共同研究は非常に順調に進んで おり、関連して分野間をまたがる多くの新しい研究課題も得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
石橋典氏との共同研究に関連した曲面のスケイン代数と量子クラスター代数に関する研究が、非常に順調に進展しており、数多くの研究課題が得られている。そのため、まずこれらの研究に関して石橋氏との共同研究を軸に進めていく予定である。さらにこの共同研究を通して、高次の量子不変量の図式計算の技術を他分野、特に表現論の研究へと応用していきたいと考えている。
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