2019 Fiscal Year Annual Research Report
高校移行にともなう発達多様性の発生メカニズム:大規模縦断調査による解明
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19J00270
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯村 周平 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 差次感受性 / 感覚処理感受性 / ヴァンテージ感受性 / 高校移行 / 環境感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題における最終的な目的は、学校環境の変化にともなう青年の発達的な個人差メカニズムを解明することであり、そのために青年の環境に対する敏感性特性と第二次性徴として知られる思春期発達の役割を検討していく。令和元年度は、研究課題1年目であり、最終的な課題達成に向けて複数の調査を始動させた。 はじめに、研究計画書の目的に照らし合わせ、環境的な影響に対する敏感性の個人差を測定する心理尺度Highly Sensitive Person Scale(HSPS)およびHighly Sensitive Child Scale(HSCS)の心理測定的性質を検討することからはじめた。そのために、他大学の研究者とも協働しながら、中学生から大学生にわたる数千名規模の調査データを収集した。本年度中にデータ分析が完了し、現在は国際誌に論文を投稿中である。この研究によって、今後の調査で使用する予定である尺度HSPS/HSCSが、青年期前期から後期にわたるサンプルにおいて比較的良好な心理測定的性質を有することが明らかになりつつある。 次に、本研究課題の2番目と3番目の目的である敏感性と思春期発達それぞれ役割を検討するための調査も開始している。この調査は高校への学校移行の前後で実施するものであるが、すでに1時点目(学校移行前)の調査は完了した。今後、学校移行後に調査を実施する予定であるが、新型コロナウイルスの影響によって予定されていた調査スケジュールを変更せざるを得ない見込みとなっている。2時点目の調査が実施できる社会的状況になるまでの間、1時点目のデータ分析を行っており、課題2年目には論文投稿を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書において令和元年度に予定されていた調査はすべて完了しており、十分な進捗状況であるといえる。しかし、新型コロナウイルスの影響によって本年度始動した縦断調査の遂行に支障が出ることが見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度では、中学校から高校への学校移行の前後にわたって2時点の縦断調査が完了する予定である。しかし、新型コロナウイルスの影響によって当初の計画通りに調査を遂行することが困難であるため、最終的な目的を達成するために調査計画を変更する必要があるだろう。予定では、令和2年目の5月に調査が完了する予定であったが、新型コロナウイルスによって休校中の高校が再開するまで調査時期を遅らせなければならない。このようなパンデミック下では新規の調査は困難であるが、その間は研究課題の遂行にむけて調査の準備や論文の執筆にエフォートを割り当てることで対応する。
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