2019 Fiscal Year Annual Research Report
反射的凸多面体を中心とした格子凸多面体の分類理論及び正規性に関する探究
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19J00312
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土谷 昭善 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 格子凸多面体 / トーリックイデアル / 正規性 / 反射的凸多面体 / 完全縮約グラフ / Nef分割 / 理想グラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
格子凸多面体の正規性に関する研究は組合せ論だけでなく可換環論や代数幾何学,そして最適化といった純粋数学や応用数学の様々な分野に現れる重要な研究である.当該研究目的はこの正規性に関連するStanleyのunimodal予想や小田予想の解決を特に反射的凸多面体に関して解決することである. 今年度の研究では半順序集合に付随する順序凸多面体と理想グラフに付随する安定集合凸多面体を組み合わせることで正規なnef分割の豊富な類の構成に成功した.Nef分割とはBatyrevの考案した反射的凸多面体とその双対凸多面体からCalabi-Yau超曲面のミラーペアを構成する理論のCalabi-Yau完全交叉への一般化で,BatyrevとBorisovによって考案された.反射的凸多面体に比べnef分割の例はあまり知られておらず,今回非常に多くの例を構成したことで今後の研究の進展が期待できる.さらにグラフ全体を考えることで,組み合わせた多面体がnef分割になることとそのグラフが理想グラフになることが同値であることも示している.また最適化の文脈で重要な単模配置からも正規なnef分割の豊富な類の構成に成功している. 一方,正規性とともに重要な性質である格子凸多面体に付随するトーリックイデアルの2次生成性に関して,理想グラフに付随する安定集合凸多面体のトーリックイデアルが2次生成となる必要十分条件がそのグラフが完全収縮となることという予想をした.特に,完全縮約グラフの代表的なクラスであるMeynielグラフ,完全順序付け可能グラフ,そしてクリーク分離可能グラフに対してこの予想が正しいことを示し,既存の結果の大幅な一般化をすることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまであまり知られていなかった正規なnef分割の豊富な類の構成,そして重要なグラフのクラスである完全縮約グラフの代数的特徴付けの予想を提唱し,さらに広いクラスのグラフに対してその予想を解決し,既存の結果の大幅な一般化に成功するなどの興味深い結果が得られており,今後の研究の発展が見込まれる.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られたnef分割の例は二つの多面体を組み合わせて構成している.nef分割は組み合わせた格子凸多面体の個数も非常に重要となっている.3個,4個,5個といったより多くの格子凸多面体を組み合わせたnef分割の豊富な類の構成を目指す. また完全縮約グラフの組合せ論的特徴付けは長い間未解決である.予想した代数的特徴付けを解決することで,組合せ論的特徴付けの解決を目指す.
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