2021 Fiscal Year Annual Research Report
初代銀河におけるブラックホールの形成・進化とその観測的兆候
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19J00324
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鄭 昇明 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 初期宇宙 / 星形成 / 流体シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は宇宙初期における星形成、ブラックホール形成過程の理解を深めるためにさまざまな大規模数値シミュレーションをおこなった。宇宙初期は近傍の宇宙に比べて、酸素や炭素などのいわゆる重元素の量が非常に少ないと考えられている。このような低い重元素量の環境下ではガス雲の温度が大きくなることが知られており、実現する星の質量が大きくなると予想されていた。事実、重元素を全く含まない環境下で形成される「初代星」は、典型的な質量が太陽の数百倍とかなり重たくなるということが近年の数値シミュレーションにより示唆されている。しかしながら、重元素が少量含まれている環境下で実現する星質量分布に関しては現状十分に理解されているとは言い難く、更なる研究を要する。 我々は初期宇宙における星形成過程について大規模3次元流体シミュレーションを行うことで、異なる重元素量の下で形成する星の質量分布を計算した。想定した重元素量は太陽系近傍に存在する重元素量(Zsun)の100万分の1から0.1までである。計算の結果、重元素量が増えるにつれて太陽以下の質量を持つ低質量星の数が増大することがわかった。特に1/100000Zsunより重元素量が大きい環境下では、ダストによる熱放射によってガス雲は効率的に冷却される結果、数多くの低質量星が形成された。しかしながら、1/100Zsun以下の環境下では依然として星の質量の多くは大質量星が担っており、星の質量分布は近傍に比べていわゆる「top-heavy」的になることがわかった。一方で、重元素量が太陽系近傍の1/10になると大質量星の数が極端に減少することで近傍で見られるような「Salpeter」型の質量分布が実現することがわかった。この結果は論文に既にまとめられており、出版済みである。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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