2020 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋でのコレステロール合成阻害が導く新たなコレステロール代謝機構
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19J00407
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水之江 雄平 筑波大学, 医学医療系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 横紋筋融解 / コレステロール |
Outline of Annual Research Achievements |
スタチンによる横紋筋融解症モデルとしてHMGCR骨格筋特異的ノックアウトマウスを作製した。その結果、骨格筋でのHMGCR低下は横紋筋融解症用の所見を示すことを明らかとしている。そこで、本研究課題ではHMGCRノックアウトマウスが横紋筋融解症様症状を呈する原因を解明することを目的とし解析を行った。昨年度には時期特異的・骨格筋特異的Cre Tgマウス(ACTA1-rtTA,tetO-cre)を導入して、HMGCRは骨格筋において筋形成(myogenesis)に影響を与え、横紋筋融解症様のフェノタイプを示すことを明らかとしている。そこで本年度では、HMGCR機能低下は筋形成・再生(regeneration)過程に対してどのように影響を及ぼしているかを明らかにするために詳細な解析を行った。4-5か月齢のマウスを用いた筋損傷モデルの結果から、flox(コントロール)マウスと比較して、DimKO(時期特異的・骨格筋特異的ノックアウト)マウスでは筋委縮は亢進している一方で、筋細胞・筋線維数は有意に増加していたことから、DimKOマウスでは筋細胞の融合障害が示唆された。そこで、EdUの取り込み解析や、筋幹細胞の移植(transplantation)解析などの融合評価解析を行ったところ、DimKOでは筋細胞の融合が顕著に障害されている結果が得られた。また、floxマウスおよび骨格筋特異的KO(mKO)マウスからFACS sortingを用いて単離した初代筋幹細胞を用いて分化誘導を行うと、mKOマウスより得られた筋幹細胞では顕著な融合障害がみられた。以上のin vivoおよびin vitroの結果より、骨格筋におけるHMGCR機能低下は筋形成・再生時における筋細胞の融合に障害を与えるという、新規知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、導入した骨格筋特異的・時期特異的HMGCRノックアウトマウスの解析を行い、HMGCRが骨格筋の形成・再生に関与していること、およびその原因として筋細胞融合障害が生じていることを見出すことができた。来年度はHMGCRが関与するコレステロール合成と、筋細胞融合に焦点を当て、その分子メカニズム解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はHMGCRをノックアウトしたマウス由来筋細胞株C2C12を用いて、HMGCR低下による融合障害の分子メカニズムを明らかにする。また時期特異的・骨格筋特異的HMGCRノックアウトマウスを用いてより詳細にHMGCR機能低下が筋線維壊死を引き起こすメカニズムについても解析を行っている。
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