2019 Fiscal Year Annual Research Report
Origin of extragalactic background light through multiwavelength observations
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19J00468
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐野 圭 金沢大学, 理工研究域数物科学系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 光赤外線天文学 / 宇宙背景放射 / 活動銀河核 / ガンマ線バースト / 金属鏡 / 光学設計 / 小型衛星 / ロケット実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの観測により、可視光から近赤外線の宇宙背景放射には通常銀河以外の未知の放射成分が含まれることが示唆される。2019年度はまず、観測された宇宙背景放射の輝度を再現するように、放射密度の赤方偏移進化モデルを数種類作成した。それぞれのモデルに対して、宇宙背景放射との電子陽電子対生成反応による高エネルギーガンマ線の不透明度を計算した。これによって、宇宙背景放射の観測値と整合するように観測されたガンマ線スペクトルからもとのスペクトルを逆算することが可能になった。また、ガンマ線スペクトルの時間変動量が不明であるため、Fermi衛星によって異なる時期に観測されたスペクトルを比較することにより、時間変動量の調査を開始した。 並行して、小型衛星HiZ-GUNDAMに搭載される可視光近赤外線望遠鏡の光学設計と迷光解析を実施した。その結果、3枚の鏡とビームスプリッターを組み合わせた反射光学系のモデルが完成した。望遠鏡はアルミニウム製であるが、可視光近赤外線において高い反射率を有する金または銀のコーティングを望遠鏡表面に施す予定である。しかし、異種金属の接触によって腐蝕が生じ、反射率が低下する可能性があることが問題であった。そこで金、銀、アルミニウムのコーティングを施したアルミニウム基板を用意し、反射率を定期的に測定することにより、反射率の低下が少ないコーティング方法を特定する実験を計画した。次年度にアルミニウム基板を製作し、本実験を実施する。 HiZ-GUNDAMと同規模の望遠鏡を搭載するロケット観測実験CIBER-2の打ち上げ前の光学試験や振動試験を米国の共同研究機関で実施した。その結果、本年度中に打ち上げ基準を満たし、打ち上げ準備を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガンマ線スペクトルから宇宙背景放射の起源を制約する研究においては、各赤方偏移においてガンマ線の不透明度を計算することが可能になったため、Fermi衛星の観測データの解析を開始した。 小型衛星HiZ-GUNDAMの望遠鏡の光学設計を完了し、次年度に試作機製作を行う準備が整った。 ロケット実験CIBER-2は打ち上げ前に必要な試験を完了し、次年度に第一回の打ち上げおよび観測を行う準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
Fermiの観測データを解析し、様々な赤方偏移にあるガンマ線源についてもとのスペクトル形状を調査することで、宇宙背景放射の起源天体が存在する赤方偏移に制約を与える。 アルミニウム基板を用いた金、銀コーティングのモニター実験により、最適なコーティング方法を決定する。また、HiZ-GUNDAMの望遠鏡試作機を製作し、性能評価を行う。要求される精度でミラーを配置できること、常温と低温で所定の結像性能を発揮することを確認する。 ロケット実験CIBER-2の打ち上げおよび観測を実施する。取得したデータを解析し、可視光から近赤外線にかけて高精度の宇宙背景放射スペクトルを導出し、その起源を議論する。
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[Presentation] Pre-flight performances of the Cosmic Infrared Background ExpeRiment 2 (CIBER-2)2020
Author(s)
K.Takimoto,S.Bang,J.Bock,A.Cooray,A.DeSantiago,R.Feder,M.Furutani,R.Hashimoto,V.Hristov,A.Kida,P.Korngut,K.Kruse,A.Lanz,D.Lee,L.Liu,J.Loewenthal,P.Mason,T.Matsumoto,S.Matsuura,C.Nguyen,C.Pape,W.Park,D.Patru,J.Parkus,M.Peyer,S.Sakai,K.Sano,B.Stewart,H.Suzuki,A.Takahashi,S.Tatsu,K.Tsumura,T.Wada,S.Wang,I.Witlim,M.Zemcov
Organizer
SPIE Astronomical Telescopes + Instrumentation
Int'l Joint Research
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