2019 Fiscal Year Annual Research Report
Laminar-turbulent transition of superfluid in a random environment
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19J00525
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
芳賀 大樹 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 超流動 / 冷却原子気体 / ボース粒子系 / ランダム系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、ランダムな環境中を流れる量子流体における層流・乱流転移に注目する。最もシンプルな例として、弱いランダムポテンシャル中のボース粒子系を考える。この系は超流動を示し、ある臨界速度以下の流速では散逸を伴わない安定な層流状態が実現する。一方で流速が臨界速度を超えると、こうした層流状態は不安定となり、複雑な時空間ダイナミクスを伴う乱流状態への転移が起こると期待される。本研究課題の第一年目には、層流・乱流転移に対する統計力学的アプローチの最初のステップとして、ランダムポテンシャルが層流状態の相構造に与える効果に注目した。 一様なボース粒子系は基底状態において、空間全体にわたって巨視的波動関数の位相がそろった非対角長距離秩序を示す。いま、弱いランダムポテンシャル中を一定の速度で流れているボース気体を考える。本研究の主な成果は、ランダムポテンシャルに由来する波動関数の位相ゆらぎが、空間一次元と二次元で非対角長距離秩序を破壊することを示した点にある。より具体的には、波動関数の相関関数が一次元と二次元の場合に、それぞれ距離に関して指数関数的、あるいは代数的に減衰することを示した。相関関数が遠距離でゼロに減衰することは長距離秩序が存在しないことを意味する。 ランダムポテンシャルと流れが存在すると一次元と二次元で非対角長距離秩序が破壊されてしまうのは、両者の協同が平衡状態における熱的なゆらぎと同等な効果を生み出すためである。すなわち、ランダムポテンシャル中を流れるボース気体は、ある有効温度によって特徴付けられる一様な熱平衡状態と等価となる。本研究では、この有効温度をランダムポテンシャルの強さと流速の関数として与える一般的な表式を導いた。以上の成果は、非平衡条件下のランダム系に対しても平衡統計力学の枠組みが近似的に有効である可能性を示唆している。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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