2020 Fiscal Year Annual Research Report
筋細胞における管状エンドソームの役割と組織特異的な形成機構の解明
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19J00533
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
衞藤 貫 熊本大学, 発生医学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 管状エンドソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
私は、これまでの研究の過程で、培養細胞を用いた実験系により、管状エンドソームは筋細胞特異的に形成されるオルガネラであることを見出した。また、ショウジョウバエをモデル系として生細胞イメージングを行うことで、培養細胞だけでなく実際に生きた個体の筋細胞においても管状エンドソームが形成されることを明らかにした。本年度は、筋細胞における管状エンドソームの生理的意義の解明を目指した。方法は、GAL4-UASシステムにより管状エンドソーム形成に必須であるRab10を筋細胞特異的に機能阻害するショウジョウバエを作製し、サナギや成虫まで発生する個体数及び運動能力への影響を検討した。具体的には、筋組織特異的に発現するDmef2のプロモーターの下流にGAL4を繋いだ配列を持つトランスジェニック個体とGAL4のターゲットであるUASにRab10のドミナントネガティブ変異体(Rab10DN)を発現するショウジョウバエを作製した。ショウジョウバエは発生段階の「蛹を形成するために培養容器の壁を登るステップ」及び「蛹の殻を破る(羽化)ステップ」において特に筋細胞が必要であると考えられているので、これらについて筋細胞特異的なRab10の機能阻害の影響を検証した。その結果として、筋細胞特異的なRab10の機能阻害により幼虫の運動能力が顕著に低下することがわかった。Rab10DNを過剰発現したショウジョウバエでは三齢幼虫期まで成長しても培養容器の壁を登る個体が明らかに少なく、成虫まで発生する個体数が顕著に減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ショウジョウバエの筋組織において観察される管状エンドソーム形成と個体の運動能力の関係性を解析した。筋細胞特異的に管状エンドソームを形成できないショウジョウバエを作製することで、発生段階における運動において管状エンドソームが必須であることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
筋細胞特異的なRab10阻害の表現型の原因として、インテグリンの輸送の破綻を予想している。もし、Rab10がインテグリンを輸送しているならば、両者は共局在すると考えられるので、筋細胞におけるRab10とインテグリンの局在を評価する。
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