2021 Fiscal Year Annual Research Report
A study of distribution of export goods form regional areas to Yokohama, international port city, during the early modern and modern transitional period
Project/Area Number |
19J00714
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中尾 俊介 横浜国立大学, 教育学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 横浜開港場 / 生糸 / 商人仲間、組合 / 仕切状 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は2020年度に引き続き、幕末~明治前期における生糸と茶の流通に関わる資料調査をおこなった。具体的には、群馬県・長野県・東京都八王子市・山梨県・茨城県の生糸・茶の荷主の家に残った資料群について、仕切状(横浜の貿易商人が荷主に対し、貿易の売上と必要経費の控除額等を報告した文書)や経営帳簿、商人の議定等を調査・分析した。 本年度の調査研究により、関東近辺の主要な生糸産地の仕切状についてはほぼ調査が完了した。結果として、安政6年・万延元年(横浜開港当初)の事例こそ少ないが、文久~明治初頭までの期間については十分な輸出貿易の事例を収集することができた。今年度の資料調査にて、仕切状の写しが日記に控えられた例が確認され、仕切状の形態をとらない資料から新たな輸出貿易の事例が発見される可能性はある。それでも、生糸売込商(輸出商人)の営業形態、外国商館との商取引慣行、洋銀の交換相場、生糸相場などについて有用なデータが得られたと考える。 今年度は、生糸仕切状から横浜の生糸売込商たちの主導的地位の確立過程を検討した。生糸売込商の主導的な地位は、(1)都市内部の同業者を統制し、(2)都市外にいる荷主に、輸出貿易に不可欠な商人(集団)として自らを認めさせることによって完成したと考えられる。両者とも、仕切状の検討から慶応2年5月に実施されたと考えられる生糸売込商の仲間議定によって達成された。既往研究においては慶応3年の御用金貸付、明治初頭の為替会社・商法会社の設立を経て生糸売込商が荷主を支配する体制が築かれたと指摘されるが、慶応2年における幕府による貿易政策と生糸流通統制策の転換も含め、売込商台頭の歴史的な意義を議論する必要があると指摘できる。 なお、生糸や茶の荷主が作成した資料は厖大であり、書簡や経営帳簿類など、本研究で十分に調査研究できなかった部分も多い。今後の課題としたい。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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