2020 Fiscal Year Annual Research Report
顔と音声の視聴覚統合における社会的環境要因の効果について
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19J00722
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
氏家 悠太 中京大学, 心理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 視聴覚統合 / 発達 / McGurk効果 / 他人種効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、研究2の乳児を対象とした脳機能計測の成果をまとめ、さらに研究3に関して、養育スタイルの多様性に関わる尺度の日本語版の開発を実施した。乳児を対象とした脳機能計測の研究では、これまでに行動実験において得られた、顔と音声の視聴覚統合における他人種効果の脳内機構について明らかにした。実験では、顔と音声の視聴覚統合の指標としてマガーク効果を使用し、生後8-9か月の日本人の乳児を対象に、刺激観察時の左右側頭の脳血流量を、fNIRSを用いて測定した。その結果、自人種顔の発話刺激(視聴覚一致刺激、マガーク刺激)を観察している際、乳児の左側頭の脳血流量が有意に増加することが示された。一方で、他人種の発話刺激に対しては、左右側頭のいずれにおいて有意な脳血流量の増加は示されなかった。左側頭領域は視聴覚音声の統合に関与することから、自人種の顔に対する脳領域の選択的反応が、顔と音声の統合が成熟する前の生後8-9か月からみられることが明らかとなった。また、研究3では、親の個人特性に焦点を当て、養育スタイルを行動レベルから測定し、文化的多様性を検討することを目的としており、今年度実施した調査研究の結果では、養育スタイルの文化比較研究で用いられる、家族中心主義尺度日本語版の心理測定的妥当性(信頼性、外的基準妥当性、項目分析、因子モデルの検討など)を検討した。その結果、日本語版においても信頼性、妥当性ともに高く、また、尺度の因子モデルに関しても、原版と同様の1因子モデルが再現された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,今年度までで,乳児と成人を対象とした行動実験(研究1)と乳児対象の脳機能計測(研究2)は完了しており、期待通りの成果が得られている。また、研究3の調査研究についても、関連する尺度の日本語版の作成を行い、国際誌への論文採択済みである。以上より、現在までの研究の達成度は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までで,乳児と成人を対象とした行動実験(研究1)と乳児対象の脳機能計測(研究2)は完了したため、次年度は研究3の調査研究を進める。研究3において、当初計画の一部に含まれていた海外に赴いての調査は、国際的なコロナ感染の拡大により実施が困難であることが予想されるため、次年度はオンラインによる調査を中心に研究を進める。また、これまでに得られた成果について結果をまとめ、国際誌への論文投稿など、成果発表を積極的に進めていく。
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Research Products
(12 results)