2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of receptive field mechanisms in human infants
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19J00760
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
中島 悠介 中央大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 運動視 / 受容野 / 周辺抑制 / 乳児 / 発達 / 実験心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚運動刺激を知覚する際,刺激サイズが大きくなるほど運動方向の知覚が困難になるという現象が見られる。これは,周辺抑制という視覚皮質MT野の受容野メカニズムを反映した知覚現象だと考えられている。本研究では,受容野構造の初期発達過程を検討するために,乳児を対象として周辺抑制が発達によりどのように変化するかを調べた。 実験では,馴化法を用いて,大小の運動刺激への運動方向弁別感度を,生後3-8ヶ月の乳児を対象に検討した。その結果,生後6ヶ月以上の乳児では,大きい刺激より小さい刺激の方が弁別感度が高く,成人と同様の傾向が示された。一方,6ヶ月未満の乳児では,大きい刺激の方が弁別感度が高く,成人とは逆の傾向が示された。これらの結果から,運動視における周辺抑制は生後半年頃まで未発達であることが明らかになった。高齢者では若年成人と異なり,刺激が大きくなっても運動知覚成績が下がらないことが知られており,周辺抑制機能が低下していると考えられている。6ヶ月未満の乳児の結果は高齢者と同様の傾向であり,低月齢の乳児の運動知覚は高齢者のものと類似している可能性が示唆された。 さらに,同様の方法を用いて,運動視の空間加重領域サイズの発達的変化を調べた。その結果,3-4ヶ月児の空間加重領域のサイズは,7-8ヶ月児より大きいことが示された。この結果から,発達にしたがって,受容野の興奮性中心領域が縮小していく可能性が示唆された。これらの研究成果はCurrent Biology誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた実験はすべて完了し,成果発表も国際誌への論文掲載という形で完了した。また,今回の成果をさらに発展させる新たな研究計画も開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた研究成果をさらに発展させるために,新たな実験を開始する。データの取得後,学会発表,論文投稿を行う。
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Research Products
(3 results)