2019 Fiscal Year Annual Research Report
コモディティ化からの脱却による農業の世代内/世代間正義の実現
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19J00776
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Research Institution | University of Human Environments |
Principal Investigator |
谷川 彩月 人間環境大学, 人間環境学部, 助教
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 環境保全型農業 / 世代間正義 / コモディティ化 / CSA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、農業にまつわる世代内正義(社会的・経済的不平等の是正)/世代間正義( 次世代への良好な環境の継承)の達成が可能となる条件を明らかにし、双方を含んだ多元的な正義実現のための農業モデルを提示することである。現在、農産物のコモディティ化(ある商品カテゴリ内での同質化が進むことで、価格差によってしか商品が差異化できなくなった状態)が進行しつつある。本研究では、こうしたコモディティ化からの脱却が世代内/世代間正義の達成に影響を与えるのではないかとして、日米での比較調査を行う。とくに、世代内正義と世代間正義で はその実現過程や論拠となる価値観が異なるという仮説から出発し、日本のコメ市場における低環境負荷農法の普及状況と、米国カリフォルニア州でのコミュニティ支援型農業(Community Supported Agriculture, 以下 CSAとする)の多様化に着目する。 以上のような目的のもと、本年度前半は文献調査を集中的におこなった。その結果、本研究の調査対象のひとつである地域農協では、近年地域農業の振興という側面から低環境負荷農法を採用しているところが増加していることがあきらかとなった。 つぎに、本研究のもうひとつの調査対象であるカリフォルニア州におけるCSAについても、文献調査をおこないつつ、本年度後半に現地調査をおこなった。現地調査では、産直市の一種であるファーマーズマーケットに出店している農業者で、かつCSAもおこなっている者に聞き取り調査をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採用初年度として、おおまかな文献調査をおこなうことができた。また、カリフォルニア州へ現地調査に行くこともできた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度後半より、新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るっており、これによってフィールドワークが著しく困難となりつつある。本年度については文献調査にくわえて、現地調査をおこなうことができたが、来年度におけるフィールドワークの計画は実現の目処がたっていない状況である。そのため、今後の研究では文献調査を中心に据え、理論的検討をより精緻化させる方向性で推進させていく所存である。
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