2020 Fiscal Year Annual Research Report
自発的な選択者に対する、因果性を排除した包括的な社会保障政策に向けての実証分析
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19J00811
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
迫田 さやか 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 因果性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、機会があったにもかかわらず、あえて非効率的・非合理的な選択をする者についての社会保障・ケアに対する政策を社会基盤(家族・市場(仕事)・政府・共同体)から俯瞰し、再分配と承認について実証的に講じようとするものである。 (1)1型糖尿病を調査対象とする因果性コントロールした労働供給についての分析について 1型糖尿病は自己免疫機序によって発症する、すなわち運による要素の大きい疾患である。本研究課題は「責任感応的平等主義」という「個人の選択には敏感に、個人の環境には鈍感に」なって社会保障政策を講じるべきであると主張する「運の平等主義」を用いての分析である。申請者は、一般家庭を取り上げて行った研究については昨年度出版することができた(業績1)この研究をベースとし、パネルを組んで報告を予定していたヨーロッパ社会科学歴史学会は1年延期となった2020年度に報告が完了した。(業績2)また、2016年度の調査によって明らかになった、1型糖尿病患者の母親の就業状態が一般家庭よりも15%低いことについて実証研究を進めている。 (2)「自発的な選択者」についての実証分析 機会や選択肢があったにもかかわらず、あえて非効率的・非合理的な選択をするもの「自発的な選択者」に対しての実証分析を進めるにあたって、先行研究レビューを終え、共同研究者として参画している18KK0044の調査に追随して、調査を行った。現在は、高い教育水準があるのに就業を行っていない等、「自発的な選択者」と所得再分配調査や社会保障への選好についての分析を行っている。副次的に、あえて非合理的な選択をしている者の例として、自らが既婚者で不貞行為を行っているものを取り上げて、不貞が生ずる規定要因や行動メカニズムについての共同研究を行っている。研究成果は中公新書より発刊する予定となった。また、海外との共同研究も開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、2年目では、実際にインタビューを行う予定にしていたが、コロナ禍という状況において、(1型を含む糖尿病患者はコロナに罹患すると重症すると報じられている)調査対象者団体「日本IDDMネットワーク(1型糖尿病患者とその保護者団体)」とのコミニュケーションにとどまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビューに時間が割けなかったが、「日本IDDMネットワーク(1型糖尿病患者とその保護者団体)」とのコミュニケーションから先行レビューなどの研究は進んだ。そのため、運の要素ゆえに疾患患者になった事例から、人々の利他性と再分配政策についての理論的研究を進めることができた。現在は、研究報告について検討を進めているところである。
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Research Products
(6 results)