2019 Fiscal Year Annual Research Report
A study on periods through enhanced zeta values and iterated integrals
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19J00835
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 信夫 九州大学, 大学院数理学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 多重ゼータ値 / Euler和 / 反復積分 / 数論 |
Outline of Annual Research Achievements |
広瀬氏と共同研究を行い、以前の研究で定式化したZagierの2-3-2恒等式を一般の交代ブロック次数に拡張する予想式を、その多変数に持ち上げる反復ベータ積分の等式を発見して証明した。、Zhaoによる一般化2-1公式の別証や、二項係数付きの多重ゼータ値の類似物やホフマンのt-値などに対する新しい等式群を導いた。この研究成果について第18回広島仙台研究集会と仙台研究集会「Hypergeometric Series, Mahler Measures, and Multiple Zeta Values」において発表を行った。 また、Oxford大学のFrancis Brown氏を訪ね、反復ベータ積分の等式に関する研究成果について氏の主催するセミナーで発表した。 また広瀬氏との共同研究で、合流関係式の理論のレベル2類似物を使って、Euler和をDeligne族の具体的な線形和に表示する方法を与え、Euler和の生成するQ線形空間の次元の上限のモチーフ理論を用いない証明を与えた。さらに、レベル2合流関係式のGoncharov余積を詳細に調べることで、レベル2合流関係式がモチーフ的Euler和の関係式であることを証明し、モチーフ的Euler和の関係式がレベル2合流関係式と一致することを示した。この研究成果について、第13回福岡整数論研究集会とRIMS研究集会「代数的整数論とその周辺2019」において発表を行った。 また、自己交差を持つ路のサンドイッチ巡回和公式とループ上の反復積分との関係を発見・証明し、第13回若手ゼータ研究集会において発表を行った。 さらに、広瀬氏、村原氏、小野塚氏と、大野和と呼ばれる多重ゼータ値の和の間のQ上の線型関係式について共同研究を行い、2つの新しい関係式族を発見・証明した。この研究成果について、RIMS研究集会「多重ゼータ値の諸相」において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究において、Zagierの2-3-2恒等式を一般化する予想式の証明に成功し、より一般的な反復ベータ積分の等式を発見した。また、合流関係式の理論のレベル2類似物を使って、Euler和の生成するQ線形空間の次元の上限のモチーフ理論を用いない証明を与え、モチーフ的Euler和の関係式の完全に具体的な記述を与えることに成功した。さらに自己交差を持つ路のサンドイッチ巡回和公式とループ上の反復積分との関係を発見し、大野和の新しい関係式族を発見・証明した。以上のことから、研究は当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画が順調に進んでいるため、今後も計画通り研究を続ける。また、研究成果のうちまだ論文が完成していないものについては執筆を進める。また、これまでの研究方針に加え、多重モジュラー値などの新たな視点からの研究も行う。
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