2019 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism of ER stress response regulation by PDI family proteins
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19J00893
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松崎 元紀 東北大学, 多元物質科学研究所, 特別研究員(PD) (90817040)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | ジスルフィド結合 / 小胞体ストレス応答 / PDIファミリー / IRE1 |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体ストレスセンサーは、小胞体で生じた構造の異常な不良タンパク質を感知して活性化することで、不良タンパク質を除去するためのシグナル伝達を行うことが知られている。この過程は小胞体ストレス応答(UPR)と呼ばれ、近年小胞体ストレスセンサーの活性化制御にジスルフィド結合が関わること、また小胞体分子シャペロンであるPDIファミリー酵素群が制御に関わることが報告されたが、このようなジスルフィド結合依存的な制御の詳しいメカニズムは不明である。 これまで精製等の困難さもあり分子間ジスルフィド結合を含む酸化型IRE1を用いた試験管内解析は、制御メカニズム解明に必須であるにも関わらず報告されていない。新規開発した試験管内でのIRE1不活性化測定系を用いて、網羅的なPDIファミリー酵素による不活性化試験を行い、PDIファミリー酵素がIRE1の分子間ジスルフィド結合を触媒出来ること、PDIファミリーの構造と不活性化効率に相関があることを明らかにしつつある。また、分子間ジスルフィド結合を含まない還元型IRE1は濃度依存的な会合状態の変化が報告されていたが、酸化型IRE1について検討したところ会合状態の変化が少ないか、全く起きないことを見出しており、ジスルフィド結合が関わるUPR制御の分子メカニズムについて理解が進んでいる。同時に細胞レベルでの検証も進行しており、細胞内におけるPDIファミリー酵素、IRE1、UPRシグナルなどの検出方法を確立し、これらを用いて細胞生物学的アプローチでもPDIファミリー酵素群によるIRE1制御をさらに追求する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、試験管内の実験を中心にPDIファミリー酵素によるIRE1のジスルフィド結合触媒の解析を進行させることが出来ており、細胞レベルでの評価系も確立しつつある。構造解析に関しても研究協力者らと連携し、核磁気共鳴やX線小角散乱などの設備を利用する準備が整いつつあり、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
多くのPDIファミリー酵素群は複数のチオール・ジスルフィド交換活性中心を持ち、これらを適切に使い分けることで様々な反応を効率的に触媒するとされるが、未だ具体的なメカニズムやPDIファミリー酵素群の中でも使い分けの異同があるかは明らかにされていない。そこでPDIファミリー酵素群によるIRE1制御メカニズムをさらに追求するため、PDIファミリー酵素の活性中心あるいは重要な構造的特徴をもたらしている部位に変異を導入し、これらの変異体についてIRE1制御を分子レベルおよび細胞レベルで検討していく。また、核磁気共鳴やX線小角散乱など複数の構造解析手法で取得したデータと既知の結晶構造情報を元に、IRE1多量体の構造解析を進める。
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Research Products
(9 results)