2020 Fiscal Year Annual Research Report
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19J00952
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋本 倫拓 九州大学, 医学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / ミトコンドリア / 代謝 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
造血幹細胞は静止期、分裂期(自己複製分裂、分化分裂)を繰り返し一生にわたり全ての血液細胞を賛成し続ける。新生児期では活発に分裂、高いミトコンドリア活性を維持しているが成体に近くにつれ、分裂頻度が低下、静止期にある細胞の割合が上昇する。しかし、この分裂頻度の高い新生児期の造血から静止期主体の成体の造血への切り替わりがどのように制御されているのか明らかにされていない。また、新生児期造血幹細胞の特徴もほとんど明らかにされていない。一方で近年オートファジーがミトコンドリアの品質維持を行い、造血幹細胞の静止期維持に重要であることが報告されている。しかし、オートファジーが新生児期、4週齢、成体(8週齢)のそれぞれの成長過程でどの様な影響を示すのか明らかにされていない。本研究はミトコンドリアの制御を通じ造血幹細胞の静止期、分裂期の制御機構を解明する。 本研究では、オートファジー欠損が新生児期の造血には影響がないことを解明した。さらに、オートファジー欠損による造血幹細胞の枯渇がオートファジー欠損による骨髄環境が変化し、その結果造血幹細胞の枯渇が誘導される。一方で新生児期造血幹細胞は高い分裂頻度、ミトコンドリア活性、エネルギー産生を維持することを明らかにして来たが、ミトコンドリア電子伝達系阻害剤を添加することで、ミトコンドリアストレスを与えても成体の造血幹細胞に比べ耐性を示す。つまり新生児期造血幹細胞はミトコンドリアストレスに耐性があるために高いミトコンドリア活性を維持できる可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はこれまでのオートファジー欠損造血幹細胞の結果をまとめ、Blood Advancesに投稿、3月12日にオンライン掲載された。また、新生児期造血幹細胞の研究においても順調に結果を得ており、来年度には結果をまとめ投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
オートファジー欠損が骨髄環境を変化させ造血幹細胞の枯渇を誘導するとこれまでに明らかにして来たが、詳細なメカニズムは不明なままである。今後の研究では以下の点を明らかにする。1、オートファジー欠損によるミトコンドリアの代謝変化の詳細な解析。2、1の解析で解明されるオートファジー欠損による造血幹細胞のミトコンドリアの代謝異常の結果から考えられる原因因子を阻害剤、transgenic マウスなどにより阻害しresucueされるのか、オートファジー欠損の真の原因になりうるのか分子メカニズムの解析を行う。3、オートファジー欠損による造血幹細胞枯渇は造血幹細胞の分裂を制御できず、継続的に分裂期に造血幹細胞があるために起こると考えられる。オートファジー欠損の原因因子を阻害することで分裂期にある造血幹細胞を制御し、静止期に戻すことが可能になると示唆される。造血幹細胞の in vitroの培養系においてオートファジー欠損因子の阻害剤を添加することで造血幹細胞を適切に分裂制御し、in vitroにおいて造血幹細胞の増幅ができないか試みる。 新生児期造血幹細胞においては以下の点を明らかにする。1、preliminaryな結果であるが新生児期の造血幹細胞を放射線を当てない成体(8週齢)マウスに移植すると分裂期にある新生児期造血幹細胞が分裂を止めることを示唆する結果を得ている。この結果から造血幹細胞の分裂は造血幹細胞自身のポテンシャルよりも周辺環境のより制御されうると考えられる。骨髄液のサイトカインプロファイリングなどにより造血幹細胞の分裂を制御する因子の解明を行い、新生児期からの発生過程で分裂期から静止期に移行する際の因子の決定を行う。
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Research Products
(1 results)