2021 Fiscal Year Annual Research Report
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19J00996
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
加藤 萌 金沢大学, 理工学域地球社会基盤学系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 全有機炭素量 / 安定炭素同位体比 / 化学合成生態系 / 鯨骨群集 / 地球化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,主に化学合成環境の一つである大型遺骸生物群集が栄養源として周辺の海洋底にもたらす影響についての調査を行った.現生の浅海に沈めた鯨遺骸を用い,堆積物中の有機物量TOCおよび安定炭素同位体比δ13Corgの変化を調べた.また,同じく化学合成環境の一つである海底泥火山においても堆積物採取および生物採取を行った. 鯨遺骸に関する調査では,表層堆積物に含まれるTOCは,鯨骨から0.5 mの範囲で3wt%から1wt%と漸移的に減少し,δ13Corg値の方も同様に,鯨遺骸から0.5 mの範囲で漸移的に,最大1.5‰の値の上昇がみられた.TOC,δ13Corg共に鯨骨の影響が強く見られたのは鯨骨から約0.5 mの範囲であったが,δ13Corg値の結果からはより広範囲にわたって鯨骨由来の有機物が広がっている可能性が考えられる.大型遺骸生物周辺の堆積物中の有機物の変化が漸移的に確認でき,その範囲もおおよそ確かめられたのは初めての結果となった. また,海底泥火山においてサンプリングを行った堆積物に関しても同様の分析を行ったところ,δ13Corg値においては活発に活動していると考えられる泥火山において明らかに低い値を示した.泥火山は海底下から泥と共に地下水やメタンなどのガスが噴出している場所であり,堆積物が低いδ13Corg値を示した泥火山ではメタンハイドレートの存在も確認されたため,海底下のメタンの影響を受けたと考えられる.この泥火山においてはシロウリガイの殻やクモヒトデ,ゴカイの仲間などの生物サンプルも採取されたため,現在でも化学合成生態系が成立している,もしくはごく最近まで存在していたと推測できる.
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Remarks |
2022年1月プレスリリース
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