2020 Fiscal Year Annual Research Report
A logical foundation for constructivism
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19J01239
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
藤原 誠 明治大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 構成的推論 / 実現可能性解釈 / 最小論理 / ベス意味論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,数学や論理学の分野においてコンセンサスが乏しい構成的推論という概念に対して,現代的視座に立って数学的に妥当な定式化を与えることである. 具体的には,構成的推論の自然な表現である抽象実現可能性解釈と呼ばれる意味論が健全かつ強完全となるような矛盾記号を言語に含まない形式論理を構築することを目指している. そのような形式論理を構築するためには,矛盾記号を含まない言語における抽象実現可能性解釈の振る舞いを調べ,形式論理との対応を精査する必要がある,一方,構成的数学の計算機上での実装に深く関連する論理である最小論理は,通常矛盾記号を含まない言語において形式化され,ベス意味論と呼ばれる意味論が最小論理に対して健全かつ強完全であることが知られている.そのため,ベス意味論と抽象実現可能性解釈の関連性を解明することで本研究課題の達成に大きく近づく. しかし,ベス意味論に関する先行研究は非常に少なく,未だ基本的な事柄しか解明されていない.本年度筆者は,最小論理やベス意味論に造詣が深いHelmut Schwichtenberg氏が指揮するLMU Munichの数理論理学研究グループを長期訪問してベス意味論に関する先行研究についての情報収集を行い,いくつかの文脈で調べられていた既存の研究結果を整理した.特に,Schwichtenberg氏によって研究されていた木意味論がベス意味論の一種であることが分かった. また,直観主義数学や構成的数学における構成的推論の数学的側面をより深く理解するため,直観主義数学におけるベール空間から自然数集合への関数の連続性の概念について,構成的逆数学の観点から解析した.そして,同概念が「バー再帰を持つモジュラスによって各点連続であること」によって特徴付けられることを示した.なお,これは北陸先端科学技術大学院大学の河井達治氏との共同研究の成果である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
直観主義数学における連続性の概念の構成的逆数学に関しては,当初の予想以上の進展があり,数学的に興味深い結果が得られた. 一方,本研究の中心的課題に深く関わるベス意味論と抽象実現可能性解釈の関連性の解明に関しては,未だ顕著な研究成果が得られていない.
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Strategy for Future Research Activity |
ベス意味論に関する先行研究を調査する中で,ベス意味論に関する先行結果は非常に少なく,未解明な事柄が多いことが分かってきた.それゆえ,ベス意味論と抽象実現可能性解釈の関連性を直接的に調べることは容易ではない.一方で,直観主義論理に対して健全かつ強完全となるよく知られた意味論であるクリプキ意味論に対しては,抽象実現可能性解釈との関連性が先行研究によって既にある程度解明されている.そのため,ベス意味論と抽象実現可能性解釈の関連性を調べるための足掛かりとして,ベス意味論とクリプキ意味論の関係性の解明に着手する.この課題に関しては,重要な問題が多く残されているものの,先行研究によって部分的に解明されている部分もある.先行研究を参考にしつつ,より精密な関係性の解明を目指す. また,直観主義数学や構成的数学における構成的推論の数学的側面をより深く理解するため,Brouwerのバー定理やファン定理及びそれに関連する連続性公理の構成的逆数学をさらに推し進める. なお,昨年度に引き続き,最小論理やベス意味論に造詣が深いHelmut Schwichtenberg氏が指揮するLMU Munichの数理論理学研究グループを長期訪問し,関連分野の研究者と交流を深めつつ,本研究課題を推進する.
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