2020 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of the glitch noise for the burst gravitational wave detection
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19J01299
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
鷲見 貴生 国立天文台, 重力波プロジェクト, 特別研究員(PD) (30822283)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 重力波 / 環境雑音 / KAGRA / 雑音注入試験 / レーザー干渉計 / 防振 / 落雷 / ロックロス |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年4月、KAGRAはドイツのGEO600と共同での重力波観測を実施した。当初の予定ではアメリカのLIGOおよびイタリアのVirgoとの共同観測(O3)を行うことになっていたが、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックにより両者の観測が終了を余儀なくされたため、GEO-KAGRAのみの観測(O3GK)となった。本研究課題では、このO3GKの前後にKAGRA実験室内で雑音注入試験を主導し雑音低減に貢献した。また観測後から8月下旬にかけてこの雑音注入試験データの解析に駐力し、これまでLIGOやVirgoでも扱われていなかった、環境雑音に対して干渉計(重力波チャンネル)が周波数変換のある応答をしていることを示し、これを定量的に評価する手法を考案した。さらに環境雑音に限らず、O3GKにおいて観測されたKAGRAの雑音成分内訳を評価するNoise Budgetチームを主導し、各種測定の情報収集や整合性の確認、プロットの作成や論文執筆を進めている。また、O3GKの間に発生した干渉計のロックロス(制御外れ)について原因分析の研究を行った。ここでは地震や波浪といった環境起因のロックロスだけでなく、様々な干渉系制御信号に対しても統計的手法を確立した。 2020年8月からKAGRAは、次の観測(2022年予定)に向けた改修作業が行われている。本研究では、先の雑音注入試験で特に環境雑音の影響が大きいことがわかったKAGRA中央エリアにおける、防振装置の改修作業およびこれに伴う真空容器大気開放・清掃作業を行った。また、次の観測や将来的に問題になると予測される環境雑音への対策として、重力場雑音を誘起する地下排水路の調査と流量計の選定・設置、国際共同観測時にコヒーレントな雑音として残るシューマン共振磁場のモニターのための高感度磁力計の選定と性能評価なども行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載した内容のうち、Noise Budgetチームの主導や防振装置改修作業などは当初の研究計画を超えた研究活動である。当初の研究計画である環境雑音評価の研究についても、年度内に2本の筆頭著者論文を書き上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は次の国際共同重力波観測(2022年予定)に向け、環境モニター系の再配置、監視ツールの充実化、地下環境の特徴づけ、干渉計のノイズハンティングと定量評価などに引き続き取り組んでいく。
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