2020 Fiscal Year Annual Research Report
湾岸諸国の「服装」のポリティクス―イラン系移民女性に着目して―
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19J01421
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
後藤 真実 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(PD) (90915357)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | イラン系移民 / 湾岸 / 女性 / 物質文化 / 仮面文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
採用2年目の研究実施状況は大きく以下の5つに分けられる。①イラン系移民女性の衣服を介したアイデンティティの様相についてのデータ収集、②東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所での企画展の開催、③英語と日本語での論文発表、④国際・国内学会での研究成果発表、⑤アウトリーチ活動である。まず、新型コロナウイルスの影響により海外渡航ができなくなったため、代替策としてアラブ首長国連邦のイラン系移民女性を対象にWhatsappやZoomでのインタビュー調査を行い、継続的なデータ収集を試みた。また東京外国語大学AA研で企画展「越境する仮面文化-ペルシャ・アラビア湾岸地域の女性たち―」を2020年9月から10月まで開催した。企画展関連イベントして、2回講演会を開催した。また、朝日新聞GLOBE+の紙面・ネット記事2つに企画展関連でインタビューを受けた内容が掲載され、国民や社会に向けて研究成果を発表できた良い機会となった。論文発表状況については、英語で1本、一般書の分担執筆のものが日本語で1本、そして短い日本語の論文を3本投稿、発表した。また、既に英語のプロシーディングス1本と博士論文英文要旨1本、日本語の一般書の分担執筆のものが3本採録決定済みである。そして国際・国内学会での研究成果発表であるが、3つの国際学会での口頭発表、9つの国内学会での口頭発表(上記の講演会2回を含む)と2つのポスター発表を実施し、現在取り組んでいるイラン系移民の研究についても貴重なコメントが得られた。アウトリーチ活動については、日本クウェート協会誌やチャリツモ(ネット媒体)にインタビュー記事が掲載された他、在エジプト日本国大使館、アラブ女性機構及び国連女性機関で共同開催された「ジェンダー及び平和に関する日・アラブ・ユースダイアログ」の議論に参加し、アラブ地域と日本のジェンダー問題についての情報交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採用2年目は南部イランでの長期臨地調査を予定していたが、新型コロナウイルスの影響により海外渡航ができなくなったため臨地調査の遂行は困難であった。その代わり、東京外国語大学で企画展を開催したり、これまでに収集したデータをまとめ、国内外の学会で発表したり、論文にして投稿するなど、研究成果の発信に力を入れることができた。上記の活動を通して、他分野の研究者や学術界外の人々に広く自身の研究内容を知ってもらい、交流を深めることができたため、当初予定していたほどの新たなデータは収集できていないものの、研究全体としては順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
採用最終年度となる来年度においては、現状湾岸地域への渡航及び臨地調査実施は難しいと考えるため、論文の執筆と投稿を中心に研究を進めていきたい。当初は英語博士論文を基にした市販書刊行を予定していたが、刊行するにあたって必要な湾岸地域での追加のデータ収集が現状実施不可能であるため、博士論文を発展させた内容で英語論文を3本投稿する予定である。まず前期は、これまでのイラン系移民の調査で得られたデータを基に現在執筆中の英語論文1本を投稿し、博士論文から抜粋した内容で英語論文2本を投稿予定である。また、2019年度から参加している人間文化研究機構・現代中東地域研究推進事業の「“熱”からみる自然資源利用の知と実践―中東・ユーラシア乾燥地をフィールドに」の若手研究会では、共同研究者として砂漠学会誌に投稿する日本語論文を執筆中であり、前期中に投稿予定である。同時に来年度から参加するアジア経済研究所の共同研究で担当する「若年層・女性の社会参画とエンパワーメント」に関しての研究成果が残せるよう、十分な調査を行う。後期は英語論文を少なくとも1本を投稿する準備をしながら、秋に開催予定の民博・特別展「ユニバーサル・ミュージアム」への湾岸仮面の出展、ワークショップの開催の準備にも積極的に取り組む。
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Research Products
(19 results)