2019 Fiscal Year Annual Research Report
氷惑星マントル物質の高温高圧実験に基づく天王星・海王星の内部構造モデルの構築
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19J01467
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
門林 宏和 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 天王星 / 海王星 / ダイヤモンド / メタン / アンモニア / 放射光X線回折 / ラマン分光 / ダイヤモンドアンビルセル |
Outline of Annual Research Achievements |
天王星や海王星の氷マントルは、主に水・メタン・アンモニアから構成されており、従来の実験的研究では、これら氷マントル物質の高温高圧挙動を調べることにより、巨大氷惑星の内部構造の推定が行われてきた。しかしながら、これまでの実験的研究は単一成分を扱うものであり、現実的な氷惑星のマントル条件を再現した多成分系での実験は行われていなかった。それゆえ、氷マントル内部での水・メタン・アンモニアなどの氷マントル物質の融解や分子解離をはじめとした高温高圧挙動については未だ明らかにされていない多くの課題が残されている。そこで本研究では、氷惑星マントル組成物質の高温高圧実験を行うことにより、この物質系の挙動を明らかにし、得られた物質科学的知見を統合することで氷惑星の内部構造モデルの構築を行うことを目的としている。初年度である2019年度は、本実験組成で起こりうる化学反応の全体像を把握するため、炭酸ガスレーザー加熱ダイヤモンドアンビルセルを用いた超高温高圧実験を行った。試料の評価は、主に放射光X線回折(高エネルギー加速器研究機構)とラマン分光により行い、回収試料の微細組織観察には高分解能電子顕微鏡を用いた。その結果、C-N-O-H系でのダイヤモンドの生成条件がメタン単成分で報告されている条件よりも有意に低温側へシフトすることが示唆され、さらに氷惑星のマントル上部においてもダイヤモンドの生成が起こりうる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、初年度に高温高圧発生に用いる抵抗加熱ダイヤモンドアンビルセルの開発を予定していたが、本年度は炭酸ガスレーザー加熱ダイヤモンドアンビルセルを用いた超高温高圧実験を装置開発に先んじて行った。その結果、本実験組成で起こりうる化学反応の全体像を把握することができ、今後の実験をより効率的に進めることが可能となった。これらの理由から、現在までの進捗状況をおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、高温高圧発生に用いる抵抗加熱ダイヤモンドアンビルセルの開発を行い、最高100 GPaまでのC-N-O-H系におけるメタンとアンモニアの高温高圧挙動を明らかにする。これにより温度勾配が極めて小さい安定的な加熱を最高1300 Kまで実現する。メタンとアンモニアの融解・解離条件は、その場ラマン分光(国立研究開発法人物質・材料研究機構)と放射光X 線回折(SPring-8, KEK-PF)の両評価法を用いて決定する。
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] グラッシーカーボンからのナノ多結晶ダイヤモンド合成と圧縮挙動2019
Author(s)
上田千晶, 入舩徹男, 國本健広, 有本岳史, 新名亨, 大藤弘明, 境毅, 門林宏和, 八木健彦, 河口沙織, 河口彰吾
Organizer
第60回高圧討論会
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