2019 Fiscal Year Annual Research Report
正常造血および造血器腫瘍におけるクロマチン修飾因子の翻訳後修飾が果たす役割の解明
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19J01570
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
浅田 修平 東京女子医科大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | ASXL1 / リン酸化 / クロマチン修飾因子 / 翻訳後修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
A-1) 正常造血における野生型ASXL1のリン酸化が及ぼす影響の解析 野生型ASXL1の主要なリン酸化部位である503番目のセリン残基(S503)の正常造血に及ぼす影響を調べるべく、ヒトASXL1S503に相当するマウスAsxl1のS500をアラニンに置換したノックインマウス(Asxl1-S500A-KIマウス)の作製を行ったところ、ヘテロKIマウスが得られた。このマウスについて体外受精と受精卵凍結を行い、個体化を行なった。凍結胚の融解・移植で得られた産仔でもヘテロKIマウスを得て、germline transmissionを確認した。 A-2) 骨髄性腫瘍における変異型ASXL1のリン酸化が及ぼす影響の解析 ASXL1の主要なリン酸化部位であるS503残基はCDK1/2によってリン酸化されることを突き止めた。非リン酸化模倣変異体ASXL1-MT-S503Aの腫瘍原性はASXL1-MTと有意な差を認めなかった。質量分析同定された変異型ASXL1のリン酸化部位のうち、CDKによるリン酸化モチーフ部位を計6箇所認めたため、次にこれら6つのセリンもしくはスレオニン全てをアラニンに置換した変異体ASXL1-MT-6Aを作成した。 ASXL1-MT-6Aを用いた機能評価では、ASXL1-MT-6Aは活性型変異体であることが明らかになった。 B) 翻訳後修飾を標的とした治療抵抗性造血器腫瘍の新たな治療法の開発 治療抵抗細胞あるいは治療感受性細胞において、遺伝子発現が有意に上昇あるいは低下するクロマチン修飾因子および翻訳後修飾に関与する酵素の同定を目的として、まずはin vitroによる治療抵抗性モデルの構築を進めた。MDS/AMLに対する治療薬であるDNAメチル基転移酵素阻害薬およびヒストン脱アセチル化阻害薬をMDS/AML細胞にin vitroにて添加し、治療至適濃度を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A-1) 正常造血における野生型ASXL1のリン酸化が及ぼす影響の解析 目的としていたノックインマウス(Asxl1-S500A-KIマウス)の作製に成功したため、順調に進展したと考えられる。 A-2) 骨髄性腫瘍における変異型ASXL1のリン酸化が及ぼす影響の解析 目的としていたASXL1-MT-S503Aの腫瘍原性の解析を詳細に行い、さらにはASXL1-MT-6Aは活性型変異体であることを明らかにした点で順調に進展したと考えられる。 B) 翻訳後修飾を標的とした治療抵抗性造血器腫瘍の新たな治療法の開発 目的としていたin vitroによる治療抵抗性モデルの構築が樹立できた点で順調に進展したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
A-1) 正常造血における野生型ASXL1のリン酸化が及ぼす影響の解析 作製したノックインマウス(Asxl1-S500A-KIマウス)の造血幹・前駆細胞の量的、質的な評価を行う。 A-2) 骨髄性腫瘍における変異型ASXL1のリン酸化が及ぼす影響の解析 変異型ASXL1のCDKによるリン酸化がその腫瘍原性を変化させる分子機構について解析を行う。 B) 翻訳後修飾を標的とした治療抵抗性造血器腫瘍の新たな治療法の開発 in vitroによる治療抵抗性モデルを用いて、CRISPR activatorおよび inhibitorの系を用いてスクリーニングを行うことで、遺伝子発現が変化するクロマチン修飾因子ならびに翻訳後修飾に関与する酵素を同定することを試みる。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Antitumor immunity augments the therapeutic effects of p53 activation on acute myeloid leukemia2019
Author(s)
Hayashi Y, Goyama S, Liu X, Tamura M, Asada S, Tanaka Y, Fukuyama T, Wunderlich M, O’Brien E, Mizukawa B, Yamazaki S, Matsumoto A, Yamasaki S, Shibata T, Matsuda K, Sashida G, Takizawa H and Kitamura T.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 10
Pages: 4869
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Discrimination of dormant and active hematopoietic stem cells by G0 markers reveals dormancy regulation by cytoplasmic calcium2019
Author(s)
Fukushima T, Tanaka Y, Hamey FK, Chang C-H, Oki T, Asada S, Hayashi Y, Fujino T, Yonezawa T, Takeda R, Kawabata KC, Fukuyama T, Umemoto T, Takubo K, Takizawa H, Goyama S, Ishihama Y, Honda H, Gottegen B and Kitamura T.
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 29
Pages: 4144-4158
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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