2019 Fiscal Year Annual Research Report
GaAs半導体量子ドットを用いた単一フォノンの生成と検出
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19J01737
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒山 和幸 東京大学, 生産技術研究所, 助教
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | GaAs横型量子ドット / スピン / 電子-フォノン相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
GaAs横型二重量子ドットを用いて非平衡フォノンによる単電子スピンの反転レートを計測した実験について、理論計算によるレートの導出と完全計数統計の手法を用いた精密なレートの評価手法の開発を行った。これらによって得られたスピン反転レートの値を比較し、考案したフォノン誘起のスピン反転過程のメカニズムの妥当性を検証した。 まず、理論計算については、実験当初、観測されているスピン反転現象は、ドット内で準位間のフォノン励起が起こる過程と、スピン軌道相互作用によりスピン反転を伴ってフォノン緩和する過程とが逐次的に起こっているものと考えていた。しかし、完全計数統計の手法による精密なスピン反転レートの解析により、二重ドットが共鳴な場合には、2つの過程が同時に起きる2次のフォノン励起過程(2フォノン過程)を考えるべきであることが明らかになった。そこで、共同研究者の協力を得て、スピン軌道相互作用と電子-フォノン相互作用の2次の項が共存するハミルトニアンを用いて、2フォノン過程によるスピン反転レートを求める理論式の導出を行った。現在、理論式の数値計算を行い、測定結果との比較している段階であり、今後速やかに論文を投稿する。 これに加えて、スピン反転レートの評価に使用している完全計数統計について、そのレートの解析手法の改善を行った。実験では二重ドットの電荷状態を実時間に読み出した信号を取得し、その統計を取ることでレートの解析を行うが、このとき測定点の積算時間が有限であるために、積算時間内での電荷状態の遷移を数え落とす事象が存在していた。そのような事象を考慮して、レートの補正法を新たに考案し、レートの解析手法に取り入れた。さらに、完全計数統計におけるより高次のキュムラントを評価することで、より複雑なスピン・電荷状態遷移のレートを評価する手法も同時に開発した。以上の研究成果は、現在学術誌に投稿中である。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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