2019 Fiscal Year Annual Research Report
ジルコン包有硫化鉱物の多種硫黄同位体局所分析による初期地球硫黄循環の解明
Project/Area Number |
19J01768
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
青山 慎之介 横浜国立大学, 環境情報研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | ジルコン / 包有物 / 鉱物分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題は、二次イオン質量分析法を用いてジルコンに包有される硫化鉱物の多種硫黄同位体比 を局所分析することで、岩石記録のない原始地球における微生物活動や硫黄循環までも制約することを目的とする。 初年度として40億年前より古い砕屑性ジルコンを含みうる西オーストラリア・ジャックヒルズ地域の砂岩・礫岩、および比較のため、太古代TTGによく比較される若い時代のアダカイト質花崗岩を取り扱った。これら岩石試料について、いくつかの試料を選定して粉砕を行った。当初の予定通り、パンニング、重液、磁選など の各鉱物分離法によって、粉砕物から1試料につき数万粒から数十万粒のジルコンを濃集させ、数cm四方の樹脂マウントにばら撒いて研磨した。しかし、1. マウントした鉱物の脱落が多いこと、2. 包有物含有面はそれぞれのジルコンで深度が異なり、1つの研磨面ですべての包有物観察ができないこと、そしてそのために3. ジルコン中の硫化包有鉱物の存在割合は極めて低く、樹脂マウントの研磨面において硫化鉱物が露出する確率が極めて低いこと、など問題が発生した。これに対する方策として、実体顕微鏡を導入し、不透明鉱物を包有物として含むジルコンを1粒ずつピックアップする作業を行った。そして樹脂マウントと研磨を1粒ずつ行うことにより、包有物を含む面での露出面を作成した。この方法は包有物観察に特化した方法であり、ほぼ確実に包有物を研磨面として露出させることができる一方で、相当の時間や工数を必要とする方法である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では1試料につき数万粒から数十万粒のジルコンを濃集させ、数cm四方の樹脂マウントにばら撒いて研磨し、硫化包有鉱物を含むジルコンを探索する予定であった。しかし、予期していなかった複数の問題により、この計画を変更し、新たに導入した実体顕微鏡を用いて不透明鉱物を包有物として含むジルコンを1粒ずつピックアップし、樹脂へのマウントと研磨を1粒ずつ行うことにより、包有物を含む面での研磨面を作成している。この方法は包有物観察に特化した方法であり、ほぼ確実に包有物を研磨面として露出させることができる一方で、相当の時間や工数を必要とする方法である。現在、複数の不透明鉱物を包有鉱物として含むジルコンを発見しており、初年度として方法論の確立を行うことができたという意味でおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き不透明鉱物を包有鉱物として含むジルコンを探索する。これら包有物を二次イオン質量分析するため、鉱物種の同定とその組成を分析する。
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