2019 Fiscal Year Annual Research Report
Modular Synthesis of Functionalized Alkanes Using Organosulfur Compounds
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19J01814
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前川 侑輝 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | クロスカップリング / スルホン / C-SO2結合活性化 / 遷移金属触媒 / フッ素化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多くの有機化合物にみられる2級および3級のsp3炭素同士が連結した分子群の迅速自在構築を可能とする革新的合成法の確立を目的とし、強力な電子求引基を有するアルキルトリフロンを求電子剤として用いるクロスカップリング反応の開発に着手した。まず求電子剤となる二級のアルキルトリフロンを、一級のアルキルトリフロンの脱プロトン化と続くアルキル化反応によって調整した。この手法により種々の置換基を有する二級のアルキルトリフロンを高収率で合成することに成功した。続いて合成した二級のアルキルトリフロンを用い、二級のアルキルグリニャール反応剤を求核剤としたニッケル触媒によるクロスカップリング反応により二級のアルキル炭素が連結した生成物が得られるか検討した。反応温度、溶媒などの反応条件に加えて、配位子としてアミン系、N-ヘテロサイクリックカルベン、ホスフィンなど一般的な金属配位子を各種検討したが目的生成物は確認されなかった。一方で反応条件探索の中で従来想定していた生成物とは異なる、末端アルケンが2つのフッ素で置換されたジフルオロオレフィンが主生成物として得られていることが判明した。そこでクロスカップリング反応の条件検討と並行して、二級のアルキルトリフロンからジフルオロアルケンへの生成経路の解明に着手した。その結果、ジフルオロアルケンの生成にはニッケル触媒は必要がないこと、グリニャール反応剤が特異的にその反応を促進することを見出した。さらに反応条件を精査した結果、目的であるジフルオロアルケンが高収率で得られることが明らかとなった。二級のアルキルトリフロンは合成が容易であることから、本反応系はジフルオロアルケンを迅速に供給できる新たな手法である。現在この反応に関して論文投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究過程でジフルオロアルケン類の新規合成法の開発に成功した。本研究の目的とは異なるものであったが、得られた知見はスルホンの活性化研究に有用である。したがって、達成度は2とした。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に続き、アルキルスルホンを用いた新規クロスカップリング反応の開発に取り組む。昨年度はグリニャール反応剤を作用させるとシジフルオロアルケンが生成することがわかっている。この結果から、グリニャール試薬はクロスカップリング反応には適さないと想定されるため、有機亜鉛や有機ホウ素化合物を中心に反応開発を進める。 適切な触媒系を見出した後、不斉反応への展開を目指す。
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