2020 Fiscal Year Annual Research Report
東地中海域における小規模漁業の漁場利用生態と漁場管理制度の統合的解明
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19J01824
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
崎田 誠志郎 国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 小規模漁業 / 漁業管理 / 地中海 / ギリシャ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究は、ギリシャを中心とした東地中海の小規模漁業にみられる漁場利用実態と漁業管理の相関性を解明し、日本国内の事例と比較して共通性や課題を明らかにすることを目的としている。研究の性質上、課題の達成には現地フィールドワークが必須となるが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴う行動制限のため、令和2年度はフィールドワークをまったく実施することができなかった。したがって、令和2年度に実施予定であった計画の大半および必要な予算は令和3年度に繰り越し、令和2年度は論文の作成や情報の整理収集に努めた。あわせて、感染状況が小康状態にあった時期を見計らい、和歌山県串本町における漁場管理の実態について現地調査をおこなった。 著作物関連では、『人文地理』72巻に「学界展望 水産業」のレビューが掲載された。本レビューでは、2019年の地理学界における漁業・水産業関連の研究動向について展望した。発表関連では、カタール大学が主催したQatar University Annual Research Forum and Exhibition(オンライン開催)にて、東地中海における調査経験や研究の意義を中心とした招待講演をおこなった。また、2021年3月9日から11日にかけてオンライン開催されたXVIII International Association for the Study of the Commons Conferenceの分科会(Fisheries and Aquaculture Commons)に参加し、他の参加者と議論や情報交換をおこなった。そのほか、日本地理学会、人文地理学会、地域漁業学会等のオンライン学会にも参加し、議論や情報交換をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大により、当初予定していた現地調査や学会発表のほぼすべてが実施できなかった。移動制限によって通常の研究活動や資料収集も大きく阻害され、進捗状況は「遅れている」と判断せざるを得ない。その中でも、既存の調査結果をまとめて国際誌に投稿したほか、比較事例としての国内調査については最低限ながら実施することができた。複数のオンライン学会にも参加して、困難な中でも学術交流の機会を持つことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、海外に渡航して現地の人々と長時間対面でおこなう形式の現地調査が必須となるため、今後の研究の推進方策はCOVID-19問題の動向に強く左右されることとなる。現状ではいまだ現地調査の実施が極めて困難であることから、国内および対象国におけるCOVID-19の感染状況と対策の進展を注視しつつ、現地調査の実施に備えて情報収集や文献のレビューにあたる。あわせて、国内における現地調査を積極的に計画し、感染状況を見極めながら実施に向けて行動する。当面はオンライン学会が主流となることを見据えて、オンライン学会・研究会にも積極的に参加する。
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