2020 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジー関連因子(ATG)陽性複製オルガネラによるウイルス複製機構の解明
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19J01972
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
田村 律人 国立感染症研究所, 細胞化学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | RNAウィルス / 複製オルガネラ / レプリコンプラスミド / セラミド代謝 / 精神遅滞 |
Outline of Annual Research Achievements |
RNAウイルスは感染した宿主細胞内で複製オルガネラと呼ばれる特殊なオルガネラを形成するが、複製オルガネラがどのようにしてウイルスゲノムの複製に関与しているかは不明である。複製オルガネラに局在する宿主由来及びウイルス由来のタンパク質を網羅的に同定し、候補タンパク質のウイルス複製過程おける機能を明らかにする。 候補タンパク質の同定には局所的ビオチン化によるスクリーニングを導入している。昨年度から、感染細胞内で自己複製が可能な黄熱ウイルスのレプリコンプラスミドを用いている。スクリーニングのためのタグを付加するレプリコンプラスミド内の領域が非常に重要であるため、複数のプラスミドコンストラクトを作製し、これらのプラスミドの安定発現細胞株を樹立した。スクリーニングの際に最も複製オルガネラが形成される条件を見つけるため、免疫染色、電子顕微鏡を用いて、形態観察した。また、RNAウイルス感染時の宿主細胞内の遺伝子変化にも着目し、RNA-seq解析のための条件を検討した。 並行して進めていたウイルス感染や細胞内寄生細菌感染に必要な宿主因子機能解析をすすめていた。さらに該当するタンパク質が、精神遅滞の原因遺伝子であることが分かっていたため、病気の原因変異とタンパク質機能の活性化との関連を調べた。その結果、病気の原因変異は該当タンパク質の機能を活性化する変異であることが分かった。この結果を共同研究としてまとめ、論文として報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RNAウイルス複製に関連するタンパク質のスクリーニングに着手しつつあり、質量分析によるスクリーニング後、機能解析に進むことができる状態である。また、候補タンパク質の機能解析は、CRISPRによるゲノム編集を中心に行うが、昨年度に、必要とされる実験系は研究室内で立ち上がっているため、スクリーニングからのスムーズな移行ができると思われるため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、候補タンパク質のスクリーニング完了させ、個々のタンパク質の機能解析へと進む。また、ウイルスの複製時のRNAの関与を示唆する報告がされているため、ウイルス感染時のRNA-sequence解析も視野にいれて、解析条件の確定および解析を進めている。候補として同定された因子が細胞の生存に必須であった場合には、欠損細胞ではなく、siRNAを用いた機能抑制に変更する。 また並行して進めていた細胞内寄生細菌感染に必要な宿主因子機能解析の結果をまとめ、計画的に論文化に向け、追加解析を進める。
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