2019 Fiscal Year Annual Research Report
熟達した運動パフォーマンスの基盤となる神経機構の解明
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19J01997
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
瀬戸川 将 福島県立医科大学, 医学部附属生体情報伝達研究所 生体機能研究部門, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Keywords | 運動スキル / 習慣形成 / 行動選択 / 運動学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
卓越したスポーツ選手は長年の鍛錬によって獲得した素早い状況判断や自動化された動作の実行を可能にする。このように十分に学習した行動の実行は、脳機能イメージング研究の結果から、複数の脳領域による同時並列的な情報処理が関与していると考えられているが、これらの情報が脳内にてどのように処理されるかに関しては多くの不明な点を残している。本研究では、感覚情報をもとにした行動選択の実行を可能にする脳内情報処理機構を解明することを目指す。 今年度は、当初、低侵襲性カルシウムイメージング法を用いて行動選択中の神経活動を記録・解析する予定であった。しかしながら、予備実験を実施する中で使用予定であった蛍光タンパク質の機能性に問題が見つかり、神経活動の計測が困難であることが分かった。そこで、当初予定していた実験計画を変更してシリコンプローブを用いたマルチユニットレコーディング法を導入し、実験を継続することとした。そのため、本年度は自由行動下のオペラント学習課題実施中のラットから細胞外神経活動記録を行うための新規実験セットアップの立ち上げを行った。具体的には、オペラント行動実験箱と神経活動記録装置、行動観察用カメラが同期した実験システムを構築した。また、頭部に電極を埋め込んだラットが、正常無処置のラットと行動学的に同等のパフォーマンスを示すことを確認した。また、約18日間の実験期間を通して、課題に関連した神経活動を記録可能なことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、低侵襲性カルシウムイメージング法の導入に問題が生じたため、慢性埋込み型の神経活動記録法を用いた実験に変更した。そのため、計画に若干の遅れが生じた。しかしながら、本年度中にオペラント行動実験箱と神経活動記録装置、行動観察用カメラが同期した実験システムの構築が完了し、自由行動下のラットから神経活動の記録が可能であることを確認できたことから、計画変更による遅延は解消された。そのため、当プロジェクトは概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、神経活動の記録実験とデータ解析を同時に進め、行動選択課題を実施中のラットにおいてどのような脳内情報処理が行われているか明らかにする予定である。
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