2019 Fiscal Year Annual Research Report
金属導体が内在する固体材料上の火炎燃え拡がり現象と消炎現象に関する研究
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19J10187
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
金野 佑亮 北海道大学, 大学院 工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 宇宙火災 / 微小重力 / 電気火災 / 火炎燃え拡がり / 消炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,以下の3項目について研究を実施した. 1.電線上燃え拡がり火炎の消炎現象に及ぼす金属導体を通した熱輸送の影響:火炎燃え拡がり時におけるエネルギー保存式を構築し理論解析を行った.その結果,金属導体の熱伝導率が大きくなると,燃え拡がり速度が大きくなる一方,系全体の熱損失が増大し消炎に至りやすくなることを明らかにした.本研究成果は,先行研究の微小重力実験の結果を理論的に裏付けるものとなる.さらに,構築した理論モデルを検証するために,火炎燃え拡がり時における金属導体の温度分布を計測する方法(熱電対を用いた温度計測法)を確立した.実験と理論解析の結果を比較することで理論解析の妥当性を示すことができた. 2.火炎形状モデルに関する検討:火炎サイズは,火炎燃え拡がり時における試料への入熱量を決定する重要な代表長さである.そのため,火炎燃え拡がりと消炎現象のモデル化を行う上で本項目は重要な課題である.本研究では,まず噴流拡散火炎の形状モデルに関する先行研究の調査を行った.その結果,電線上を燃え拡がる火炎の形状を既往研究で導かれた理論式によって推定可能であると示すことに成功した. 3.限界酸素濃度を予測するための理論モデルの構築:1,2で得られた成果を基に,燃え拡がり火炎が消炎に至る酸素濃度(限界酸素濃度)を推定するための無次元数の修正を行った.その結果,理論解析から得られる無次元量によって,限界酸素濃度と空気流速の関係を予測可能であると示すことに成功した. 以上に記した研究内容に加え,電線材料の下方火炎伝播試験方法を確立した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は当初の計画に沿って順調に研究を進めることができた.各項目から得られた研究成果は国内学会および国際会議で発表している.さらに研究成果は国際学術誌として投稿できるまでに達しており,現在データ整理などの準備を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の研究で,火炎燃え拡がり時における固相のエネルギー保存式と火炎形状モデルを改善したことで,本研究の最終目標である,無次元数による電線材料の限界酸素濃度の予測に定性的に成功した.今後は,理論モデルの予測精度の向上と有用性を高めることを目的とし,当初の研究計画に沿って実用難燃材料を対象とした研究に着手する.
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