2019 Fiscal Year Annual Research Report
活性な多極子をもつ希土類化合物における単サイトの非フェルミ液体状態
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19J10235
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山根 悠 広島大学, 先端物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | Pr化合物 / 非フェルミ液体的挙動 / 電気四極子 / 2チャンネル近藤効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
電気四極子が活性となるPrを希薄に含む系における単サイトの非フェルミ液体(NFL)的挙動の起源を明らかにするために,以下の実験を行った。 (1)立方晶Y(Pr)Co2Zn20とLa(Pr)Ti2Al20の単結晶を作製し,0.08 Kまでの比熱C,電気抵抗ρの測定を行った。C(T)とρ(T)が2 K以下でそれぞれ-lnTと√Tに従うことを明らかにした。これらのNFL的な温度依存性は,単サイトの四極子近藤効果の理論予測と一致する。 (2)北海道大学の柳澤准教授との共同研究により,Pr希薄系Y(Pr)Ir2Zn20 の弾性定数を0.04 Kまで測定した。四極子感受率に対応する弾性定数(C11-C12)/2は,0.04 < T < 0.5 Kの温度範囲で温度降下とともにlnT依存性に従ってソフト化する。この結果は,四極子のゆらぎに起因したNFL的挙動を示唆する。 (3)2019年7~8月にドイツ・アウグスブルク大学のGegenwart教授の研究室に滞在し,Y(Pr)Ir2Zn20の熱膨張を0.04 K,磁場10 Tまで測定した。体積熱膨張係数β(T)は,T < 4 Kで温度降下とともに上昇したのち,0.05 < T < 0.5 Kの範囲で-lnTに従う発散的な振る舞いを示す。この-lnT依存性が磁場B > 2 Tで消失することは,磁場によって伝導電子と四極子の混成が弱められ,局在的な描像へと変化したことを示唆する。 これらの結果は,Pr希薄系Y(Pr)Ir2Zn20,Y(Pr)Co2Zn20およびLa(Pr)Ti2Al20において観測されたNFL的挙動が,単サイトの四極子近藤効果に起因することを強く支持する。以上の成果について,原著論文として1件,国際学会の会議録として2件の論文にまとめ,国際学会で2件,国内学会で3件の成果発表を行った。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(10 results)