2020 Fiscal Year Annual Research Report
欠陥核生成がもたらす材料の塑性変形の解析と強度の予測モデルの構築
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19J10309
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 悠治 東京大学, 工学系研究科, 助教
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 塑性変形 / 転位核生成 / ナノインデンテーション / pop-in現象 / べき乗則 / 分子動力学法 / 双晶 / 遷移状態理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
材料のナノインデンテーション試験にて生じる圧子の変位バースト現象であるpop-in現象の発生規模分布は、地震のそれに見られるようなべき乗則に従い、そのべき指数は1.5程度であるとされていたが、このべき指数の背景は不明瞭であった。そこで本年度は鉄の(100)面と(111)面、銅の(100)面について、各々ナノインデンテーションの実験1000回分のpop-in現象の発生規模について統計解析を実施した。最初に生じるpop-in(第一pop-in)は転位核生成に起因し、後続のpop-inは生成した転位のなだれ運動(転位アバランチ)に起因するとされていることから、本研究では第一pop-inと後続pop-inとに分けて各々の発生規模分布を算出した。その結果第一pop-inではガウス分布に似た分布となり、後続pop-inではべき乗則に従う分布となることが明らかとなった。さらに後続pop-in分布のべき指数はいずれの場合でも3.9以上となり、これまでに確認された結果や、マイクロ・ナノピラーの圧縮試験中の転位アバランチの分布でのべき指数(1.0~1.8)よりも高い値となった。圧縮試験でのべき指数との違いの要因を調べるためにナノインデンテーションの分子動力学解析を実施した結果、後続pop-inの分布が示す高いべき指数はナノインデンテーションで生じる不均一な応力や転位の分布に因ることが明らかとなった。 また本年度は双晶についても取り上げ、マグネシウムの{10-12}双晶の境界移動過程に対して、非調和熱振動を考慮した自由エネルギー計算手法を用いて活性化自由エネルギーの温度依存性を求めた。得られた結果を調和近似を適用した遷移状態理論による予測結果と比較すると、せん断応力200、400MPa下の場合でそれぞれ温度100、150K以上にて差異が生じており、非調和熱振動の影響が大きく表れることが示された。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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