2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19J10355
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
丸山 峻 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
|
Keywords | 設計工学 / 最適設計 / トポロジー最適化 / メタモデリング / 永久磁石同期電動機 / ノイズフィルタ |
Outline of Annual Research Achievements |
構造最適化はある目的に対して最適な構造を導く方法論であり、機械設計における強力な手段である。中でもトポロジー最適化法は形状変更の自由度が高く、これにより機械の抜本的な性能向上が期待できる。一方で、複数の構成要素からなるような機械部品の構造設計では、多くの場合、要素の形状のみならず、配置など他の要因の考慮も重要となる。しかし、従来のトポロジー最適化法では、構造を表現する設計変数以外の変数(外部変数)が含まれる最適化問題を扱うことが困難であった。そこで、本研究では外部変数をも考慮したトポロジー最適化手法を構築することを目的としている。 本年度の研究では、本来解きたい最適化問題を、設計パラメータを固定した複数の部分問題とパラメータ-最適解間の入出力関係を近似するモデルを介して解く手法を構築した。その過程にて、外部変数という新たな概念を導入し、本研究で扱う最適化問題をより厳密に記述した。また、近似モデルを定量的な基準をもって選択するために、交差検定を導入した。そして、提案手法の有効性を検証するために、永久磁石同期モータの設計問題を含む数値例題を3題とりあげ、それぞれで妥当な結果が得られることを示した。今後、提案手法をより複雑な設計問題へ適用できるよう拡張していく。 上記の知見をまとめた論文を、該分野における国際的にも主たる学術誌であるStructural and Multidisciplinary Optimizationへ投稿した。同論文は年度内の採択には至らなかったものの、令和2年4月15日に採択に至っている。また、昨年度、日本機械工学会 設計工学・システム部門講演会にて行った講演が優秀講演賞を受賞した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成30年度までに構築していた基礎的な手法をもとに、大規模な設計問題へ手法を拡張することを予定していた。しかし、以下に述べるように研究を進める過程で優先すべき事項が明らかになったため、本年度ではそれらに取り組んだ。 まず、提案した手法の有効性をより系統的に検証するための設計例題を追加した。当初は応用に近い例題のみを扱っていたが、これに加え、取り組む問題の特徴をシンプルに捉えた例題を2例用いて手法の有効性を検証した。それに応じて、追加の文献調査や方法論の修正、プログラムの実装、結果の妥当性検証を行った。この取り組みを経て、成果をまとめた論文を当該分野における国際的にも主たる学術誌であるStructural and Multidisciplinary Optimizationへ投稿した。同論文は年度内の採択には至らなかったものの、令和2年4月15日に採択に至っている。次に、今後の研究では、応用的な設計対象としてより興味深い、ノイズフィルタ回路基板を扱うこととした。これに伴い、最適化プログラムや解析モデルの実装、従来研究の結果を再現するための予備検討を行った。 以上の方針転換によって、計画の変更はあったものの、方法論がより洗練され、有益な知見を得られると思われる設計例題を扱えるようになったことから、おおむね順調に研究が進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、ノイズフィルタ回路基板設計への適用を通じて、手法をより複雑な設計問題へと適用できるものへと発展させることを予定している。具体的には、回路を構成する素子の配置と、それらを繋ぐ導体パターンを最適化することでノイズのフィルタリング性能の向上を目指す。同設計問題はこれまで扱ってきた設計問題に比べて、外部変数の規模が大きく、また、目的関数の応答が複雑になる可能性がある。そのため、必要に応じて設計変数のスクリーニングや、メタモデリングの分野で研究されている設計空間の絞り込みなどのアイデアを取り入れる。そして、提案手法により得られた最適構造と、ノイズフィルタ回路基板の従来研究における最適構造とを比較し、手法の有効性を検証する。
|