2020 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理計算法を用いた電子緩和時間の評価に基づく高性能熱電物質の新たな設計指針
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19J10443
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 仁志 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 熱電材料 / 第一原理計算 / 電子格子相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
年度の前半においては,前年度から解析に用いた計算コードの一部間違いがあることがわかったため,その修正を行った.この修正により,本研究で注目している,電子がフォノンから受ける各散乱過程に関して,ZrS2の電気抵抗率に対するバレー間散乱とバレー内散乱の寄与を正しく比較することができた.さらに詳細に寄与を分解した結果,光学フォノンによるバレー内散乱が最も重要な散乱過程であることがわかった.特に,散乱ベクトルが非常に短い領域(q~0)の光学フォノンが電気抵抗率に寄与していることがわかった.このことから,縦波極性光学フォノンと電子との相互作用が,長波長極限(q~0)において,発散的に大きくなることに起因して,ある温度より高い温度においては,この縦波極性光学フォノンによる散乱が電気抵抗率を決定する支配的な散乱となると理解することができる. 年度の後半にかけては,ZrS2の類縁物質であるZrSe2,さらにはZrS2と同様にブリルアンゾーン内に複数のバレーを持つ高性能熱電物質Mg3Sb2に対しても,ZrS2と同様の計算を行い,解析を行った.これらの解析から,ZrSe2やMg3Sb2においても,長波長極限における縦波極性光学フォノンによる非常に強い散乱が,電気抵抗率に対して支配的に寄与していることがわかった.ZrSe2の電気抵抗率はZrS2と比べて小さくなることがわかったが,これは計算によって得られる誘電率の差異によって定性的にある程度説明できると考えられる.また,Mg3Sb2の電気伝導率の計算結果を,該当する実験結果と比較すると,計算結果は,実験結果の温度依存性を定性的に再現していた.このことは,本研究における計算手法が,電気伝導率などの輸送特性の実験結果を定性的に理解する際に適用可能であることを示している.
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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