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2019 Fiscal Year Annual Research Report

多様なステロイドの網羅的な短工程全合成を指向した新奇ステロイド中間体の創製と応用

Research Project

Project/Area Number 19J10599
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

越野 晴太郎  東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2019-04-25 – 2021-03-31
Keywordsステロイド / 有機触媒 / 不斉合成 / 全合成 / 脱芳香化 / 四級不斉炭素構築
Outline of Annual Research Achievements

申請者は研究計画書に則り、有機触媒を用いた不斉ドミノMichael/aldol反応によって合成される光学活性化合物を用いた多様なステロイドの合成研究を行なった。本反応で得られる化合物はステロイドのA,C,D環およびC13位の四級炭素を含む5つの連続した不斉点を一挙に構築できる有用な反応である。しかしA環として合成可能なのは芳香環に限られており、ステロイドに一般的な脂肪族炭化水素環およびそれに付随するC10位四級不斉炭素の導入が困難であることから、その応用範囲は限定的なステロイドの合成に限られていた。申請者は鍵反応として、芳香族A環の脱芳香化およびC10位四級不斉炭素を一挙に構築する反応を着想し、これを用いることで本化合物をより一般的なステロイド合成へと適用することを考えた。本年度の研究においては研究計画に則り、上記鍵反応の反応前駆体の合成を行い、これを得た。これを用いて芳香族A環の脱芳香化およびC10位四級不斉炭素の構築を検討したが、基質の不安定性により、目的物は得られなかった。そこで従来企画していた酸性および塩基性条件におけるFriedel-Crafts型の反応形式を見直し、現在ではラジカルを用いた芳香族A環の脱芳香化およびC10位四級不斉炭素の構築法について検討を行なっている。一方、合成研究の途上でニトロ基への分子内反応によって環状ニトロンが得られるという予期せぬ新たな知見を得た。この知見はニトロ基の新たな反応性の探索へ繋がると考えられ、また得られるニトロンが合成化学的に有用であることから興味を惹かれる結果である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度、申請者は鍵反応である芳香族A環の脱芳香化およびC10位四級不斉炭素の構築を目的とし研究を行なった。まず申請者の既報にしたがい、有機触媒を用いた不斉ドミノMichael/aldol反応によって、一段階にてステロイドの芳香族A環、脂肪族C,D環およびC10位四級不斉炭素を有する化合物を高立体選択的(>99%ee) に得た。次にC11位のニトロ基をNef反応によりケトンへと変換したのち還元し水酸基へと導くことで鍵反応前駆体の構築を試みた。しかし当該基質へのNef反応は酸化的な条件では円滑に進行せず、原料が回収される結果を与えた。ニトロ基周りが立体的に混雑していることにより、反応剤の接近が妨げられているためであると考察した。そこで反応形式の異なるTiCl3を用いた還元的Nef反応の条件を試したところ、反応は円滑に進行し目的のケトンを高収率で得た。また硫酸を用いる古典的Nef反応の条件を用いると、予想していたケトンではなく、ニトロ基が隣接する芳香環と結合した環状ニトロンを与えることを見出した。得られたケトンをNaBH4で還元しC11位に水酸基を有する鍵反応前駆体を合成し、鍵反応の検討を行なった。C11位水酸基にtriphosgenを作用させたのちTBAFを作用させることでフルオロホルメートを導入した。これに対し種々酸性条件を適用したが目的化合物を得ることはできなかった。モデル基質として2-arylcyclohexanolを用いて鍵反応の条件検討を行なった。その結果、活性ホルメート部位を導入したのち酸条件に付すと目的の環化反応ではなくホルメートの脱離が進行した。また、phenoxideを用いた塩基条件における環化も検討したが、これも同様に脱離が進行するのみで目的物を得ることはできなかった。上記のように基質の酸塩基への不安定性より目的物の環化体を得ることはできていない。

Strategy for Future Research Activity

上記のように、当初の研究計画では目的の芳香族A環の脱芳香化およびC10位四級不斉炭素の構築は困難であることがわかった。そこで現在では合成計画を変更し、芳香環を求核剤として用いるFriedel-Crafts型の反応ではなく、求電子剤として利用するラジカル反応の検討を行なっている。このような反応形式として、Arylラジカルやcarbamoylラジカルを用いて芳香環の脱芳香化および四級不斉炭素の構築を行なっている例がいくつか報告されている。そこで申請者もこのような形式の反応による目的の返還の達成を検討することとしている。すなわち、C11位水酸基にラジカル源となるbromomethyldimethylsilyl基やacyltellride,acylxanthateなどを縮合し、これより発生させたラジカルを用いた環化反応を検討する予定である。これにより目的の変換を達成したのち、目的化合物のひとるである19-hydroxysarmentogeninの全合成を達成する予定である。また、先述したニトロ化合物からの環状ニトロン合成についても有機合成化学的な興味がもたれるため、この反応の条件検討および一般性の検討も合わせて行いたいと考えている。

  • Research Products

    (5 results)

All 2020 2019

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] Inversion of the Axial Information during Oxidative Aromatization in the Synthesis of Axially Chiral Biaryls with Organocatalysis as a Key Step2020

    • Author(s)
      Koshino Seitaro、Takikawa Akira、Ishida Keiichi、Taniguchi Tohru、Monde Kenji、Kwon Eunsang、Umemiya Shigenobu、Hayashi Yujiro
    • Journal Title

      Chemistry ? A European Journal

      Volume: 26 Pages: 4524~4530

    • DOI

      10.1002/chem.201905814

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Asymmetric Synthesis of Biaryl Atropisomers Using an Organocatalyst‐Mediated Domino Reaction as the Key Step2019

    • Author(s)
      Hayashi Yujiro、Takikawa Akira、Koshino Seitaro、Ishida Keiichi
    • Journal Title

      Chemistry-A European Journal

      Volume: 25 Pages: 10319~10322

    • DOI

      doi.org/10.1002/chem.201902767

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] nantiodivergent synthesis of axially chiral biaryls from organocatalyst mediated domino reaction products2020

    • Author(s)
      Seitaro Koshino, Eunsang Kwon, Tohru Taniguchi, Kenji Monde, Yujiro Hayashi
    • Organizer
      第100回日本化学会年会
  • [Presentation] 有機触媒を用いた軸不斉分子の新規合成法および軸不斉発現機構の解明2019

    • Author(s)
      越野晴太郎, 石田圭一, 滝川彬, 權垠相, 谷口透, 門出健次, 梅宮茂伸, 林雄二郎
    • Organizer
      第115回有機合成シンポジウム
  • [Presentation] A new methodology to constructing axially chiral biaryls using organocatalyst2019

    • Author(s)
      eitaro Koshino, Akira Takikawa, Keichi Ishida, Eunsang Kwon Tohru Taniguchi, Kenji Monde and Yujiro Hayashi
    • Organizer
      第27回 国際複素環化学会議 (27th ISHC)
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2021-01-27  

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