2019 Fiscal Year Annual Research Report
フィロウイルスの宿主域決定における分子機構の解明ー自然宿主の同定を目指してー
Project/Area Number |
19J10604
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高舘 佳弘 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | Filovirus / Lloviu virus / コウモリ / レセプター / ウイルスの宿主特異性 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィロウイルス科に属するエボラウイルス(EBOV)やマールブルグウイルスは人を含む霊長類動物に重篤な出血熱を引き起こす。フィロウイルスの自然宿主として、コウモリが有力視されており、その宿主域決定因子が特定されている。一方、コウモリ(Miniopterus schreibersii)から発見されたLloviu virus(LLOV)(Negredo et al, PLoS Pathog, 2011)の宿主域は、不明なままである。 フィロウイルスの表面糖蛋白質(GP)は細胞内侵入を担う分子である。各種コウモリ由来培養細胞のフィロウイルスのGPを纏ったシュードタイプウイルスに対する感受性を比較した結果、Miniopterus sp.由来の細胞株(SuBK12-08)はLLOVに対する感受性が顕著に高いが、EBOVに対する感受性が低い事が判明した(Maruyama et al, J Virol, 2014)。本研究では、SuBK12-08細胞が示すLLOVに対する宿主特異性を決定する分子機構をレセプターとGPの両方向から解析を行っている。 昨年度は、数種類の変異型GPを用いた解析により、宿主特異性に関与するGP側のアミノ酸残基を特定することが出来た。さらに、レセプター側の因子については、一種類の分子が宿主域決定に関与する事が示唆された。宿主特異性に関与するレセプター側のアミノ酸残基については、現在、特定には至っていないが、今年度中には、明らかにする予定である。 フィロウイルスの宿主特異性が解明されれば、媒介する動物種が推測する手がかりとなり、感染症の発生を先回りで防ぐ事が可能となる。今年度に得られた研究成果は、LLOVの宿主域決定に関与する詳細なメカニズムを推測する重要な手がかりになり、重要な知見であると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、コウモリ細胞由来のレセプターを恒常発現する細胞株の作出し、作出した細胞株におけるシュードタイプウイルスの感染性を比較が終了し、研究の完成に繋がる実験結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、変異体のレセプター蛋白質を発現する細胞株を作り、LLOVに対する細胞感受性に寄与する因子を特定する計画を立てている。また、見つかりうる因子を他の動物種でも保持しているのかを解析する計画も立てている。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Niemann-Pick C1 heterogeneity of bat cells controls filovirus tropism2019
Author(s)
Yoshihiro Takadate, Tatsunari Kondoh, Manabu Igarashi, Junki Maruyama, Rashid Manzoor, Hirohito Ogawa, Masahiro Kajihara, Wakako Furuyama, Masahiro Sato, Hiroko Miyamoto, Reiko Yoshida, Terence E. Hill, Alexander N. Freiberg, Heinz Feldmann, Andrea Marzi, Ayato Takada
Organizer
部局横断シンポジウム「計算科学が拓く凡分野研究」