2020 Fiscal Year Annual Research Report
せん断型疲労き裂の進展特性に及ぼすき裂面相互干渉の影響の定量的評価に関する研究
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19J10689
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 佑弥 九州大学, 工学府, 特別研究員(DC2) (50904588)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | Alloy 718 / 析出強化 / カッティング機構 / せん断型疲労き裂 / き裂進展下限界値 / き裂面干渉 / ねじり疲労 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は,引張圧縮およびねじり疲労負荷を受けるNi基超合金Alloy 718の疲労限度がせん断型疲労き裂の進展限界により決定されることを示唆したが,これは非常に稀な現象である.今年度はAlloy 718における疲労き裂の停留様式がせん断型となる理由を転位による析出物のせん断破壊に着目して調査するとともに,せん断型疲労き裂の進展抵抗に及ぼすき裂開閉口応力の効果の定量評価を試みた. 前年度に使用したAlloy 718には一般的な2段時効処理を施しており,組織中には微細な析出物が析出している.析出物が存在するすべり面では転位運動への抵抗力が上昇するが,析出物がせん断破壊されるとその抵抗力は低下する.疲労き裂の前方で析出物のせん断破壊が継続的に生じると仮定すると,き裂進展抵抗は材料中に析出物が無い状態の水準にまで低下すると予想される.今年度は容体化処理を施した組織中に析出物を含まないAlloy 718を用いて疲労試験を行い,上記仮説の正しさを示した.転位による析出物の破壊というミクロな現象と疲労き裂の停留というマクロな現象を関連付けて実証したのは学術的に極めて重要である. せん断型疲労き裂の進展抵抗はき裂面同士の干渉に大きく依存し,き裂開口応力はき裂面干渉を緩和し,進展抵抗は減少する.反対にき裂閉口応力は干渉を促進し,進展抵抗は上昇する.これらの効果は定性的に示されてきたが,定量的な評価法は示されていない.今年度はせん断型疲労き裂面に静的なき裂開口応力を重畳負荷したねじり疲労試験を行ったが,得られた結果を前年度の結果と組み合わせ,Alloy 718では例外的にき裂進展抵抗に及ぼすき裂開閉口応力の効果が非常に小さいことを示した.さらに得られた全ての知見を包括的に整理し,Alloy 718におけるせん断型疲労き裂進展下限界値をき裂寸法から予測する評価式を提案した.
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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