2019 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム中小製造企業における企業発展とラーニングに関する研究
Project/Area Number |
19J10701
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原口 華奈 神戸大学, 国際協力研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
|
Keywords | 開発経済学 / 経済政策 / 産業政策 / 中小企業 / ASEAN / ベトナム / ラオス / 工業化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、2019年7月までにベトナム中小製造企業およびラオスの製造企業のデータを分析し、それぞれ「ベトナム中小製造企業の技術効率性の要因分析」(原口, ※未投稿未収録)および、「ラオス製造企業の要因分析」(原口, 2020, 『六甲台論集』に収録予定)にまとめた。これらの研究では、Simar and Wilson (2007)によるバイアス修正DEAによる技術効率性の計測を行い、修正結果を被説明変数としてより技術効率性が高い企業の特徴を明らかにしている。 ベトナムの企業の分析の結果、①経営者が高い知識を持っていること、②輸出を行うこと、③機械設備に投資を行うこと、④国際認証を取得していること、⑤製品のイノベーション活動を行っていること、⑥宣伝広告費への支出があること、がベトナムの中小製造企業のよりよいラーニングに正の効果をもたらすことが明らかとなった。また、ラオスの企業データの分析の結果、①生産のターゲットを意識しているワーカーが存在すること、②継続的改善を意識していること、③プロセスイノベーションを実施していること、の3点が、高い効率性を持つ企業の特徴であることが明らかになった。この研究の政策的含意は、基本的なマネジメント・プラクティスの導入が途上国企業においても効果的なラーニングと相関することを示したことで、効果的なラーニングを導く企業の活動を促進することが、途上国の中小製造企業の支援政策において重要であることであるということである。 以上の研究内容は原口の学位論文の一部となる予定であり、2019年度はは研究報告(学会(国際学会1件)・研究会(3件))でも積極的に自身の研究成果を発表した。また、ラオスの研究成果に関しては所属機関(神戸大学国際協力研究科)の紀要(『六甲台論集』)に掲載予定であり、分析について発展・拡張したものを英文査読誌に投稿予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の大きな目的である博士論文の内容はほぼ完成しており、研究会・学会での報告で得られたコメントを反映・追加的な分析を実施しているところである。 2019年7月までにベトナム中小製造企業およびラオスの製造企業のデータを分析し、それぞれ「ベトナム中小製造企業の技術効率性の要因分析」(原口, ※未投稿未収録)および、「ラオス製造企業の要因分析」(原口, 2020, 『六甲台論集』に収録予定)にまとめた。これらの研究では、Simar and Wilson (2007)によるバイアス修正DEAによる技術効率性の計測を行い、修正結果を被説明変数としてより技術効率性が高い企業の特徴を明らかにしている。また、ベトナムの中小企業のラーニングがどのような特徴をもって進んできたのかについて明らかにすることを目的とした時系列分析についても今年度末に完成し、研究会での報告を実施した。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの影響で海外での調査については未定であるが、計画ではあくまで追加的な調査を予定しており、研究に支障はない。 ただし、学会等が中止になっているため、外部報告については事態が収束次第ということになる。 今後は博士論文の執筆および査読誌への投稿を主な計画とし、文献調査等を通じて今までの分析結果をより精緻に考察する。
|