2019 Fiscal Year Annual Research Report
自在に形状変化可能な光制御DNAゲルによる3次元細胞組織体の構築システムの開発
Project/Area Number |
19J10825
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
下村 優 大阪大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | DNAゲル / 光制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,光信号に応じて形状変化するDNAゲルを用いた3次元配置システムの開発をめざしている.DNAゲルは高い粘性を有しており,光信号に応じたゲル形成・分解を誘起することで空間的な粘性勾配を作り出し,細胞の運動制御・配置を実現する.今年度は,光信号に応じて光形成・分解可能なDNAゲルを設計し,動作検証を行った.光信号に応じたDNAゲルの形成・分解を可能にするために,光熱変換分子であるBHQ-1とBBQ650を構成DNAに修飾し,照射する光の波長に応じたDNA反応制御を実施した.光入力に応じてDNAと特異に結合する蛍光分子の発光強度が局所的に変化することを実証実験により確認した.本結果より各波長の光照射によってDNAゲルの形成・分解を可逆的に制御できることを実証した. また,DNAゲルによて細胞などのumサイズ物体の運動を制御可能か検証するため,光照射によるDNAゲルの局所分解と粘性変化に伴う物体の運動変化を定量的に評価した.DNAゲル内でブラウン運動するポリスチレンビーズの移動変位を観察することで,光照射によって空間的な粘性を3倍ほど低下させられることが明らかとなった.さらに,光パターンを利用することで数umオーダーで粘性を変化できることを実証した. 本成果より,光制御によってDNAゲルの粘性を自在に変化させることができ,また粘性変化に伴って微小な物体の運動を柔軟に変化できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2つの光熱変換分子を利用した可逆的なDNA反応を設計することで,細胞の移動制御において基本機能となる光の励起波長に応じたDNAゲルの形成・分解を実証した, また,光分解によるDNAゲルの粘性の局所的低下,umサイズ物体の運動変化を実証し,本手法が有効であることを示した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,量子ドットなどのナノ蛍光粒子によるエネルギー移動現象を利用することで,DNAゲルの粘性分布を定量的に可視化する.また,DNAゲルの粘性制御によってumサイズ物体の運動変調を利用した移動制御をはかる.
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Research Products
(6 results)