2019 Fiscal Year Annual Research Report
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19J11052
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柿内 健佑 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 銀河系中心領域 / 星間媒質 / 磁気流体 / 数値計算 / コード開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,大局的な3次元磁気流体数値シミュレーションを用いて,銀河系中心領域における磁気活動が星間ガスの速度場や密度・熱の時間進化にどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的とする.本年度は,従来の磁気流体数値計算コードに新たに輻射冷却や加熱の影響を含めた熱進化を取り扱い可能とする改良に取り組んだ.また,スーパーコンピューターを用いたプロダクトランを実行させる準備段階として計算資源を少なくしたテスト計算を実行した.テスト計算で得られた実験結果の解析を行い,その過程で数値モデルの修整を行いながら,プロダクトランの準備を整えた. 本年度の研究計画では,改良した数値コードを用いてプロダクトランを実行し,その数値実験結果の解析から科学的な成果を得ることが研究目標であった.当初の研究計画と比べると遅れが生じているが,コードの中身をより詳細に精査し検証を行いながら改良作業を行ったことで数値コードへの信頼性を高めることができた.さらに,テスト計算の解析作業やモデルの修整を行う上で課題解決に必要となる知識やノウハウを積み重ねることができたことは結果的に有意義であったと考えられる. また,テスト計算段階ではあるが数値計算結果の解析を行った結果,銀河系中心領域における多相構造の星間ガスに磁場が与える影響として,増幅された磁場がガスの加熱に非常に重要な役割を果たすことを明らかにし,磁場由来の特徴的な動力学構造の存在を確認しており,プロダクトランによって科学的成果を得られる確証を得ることができた.我々はこれらのテスト計算段階の研究成果について,国内外の研究者コミュニティーに向けて成果を発信し,議論や情報交換を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度の研究の進捗状況をまとめると,「期待ほどではないがある程度の進展はあった」と総括できる.本研究の根幹ともいえる数値計算コードの改良に採用前の準備期間から合わせて約1年間を要し,本来の研究計画に遅れが生じる結果となった.数値計算コードの改良や数値モデルの修整段階で当初の計画以上に多くの課題に直面したため,共同研究者と議論しながら対策や改良を行うこととなったが,モデルの構築のために多岐にわたる知識,経験を得られたことは意義深い.
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Strategy for Future Research Activity |
数値コードの準備が整ったことで,今後は長時間の計算時間と大規模な空間スケールでのプロダクトランを実行する.先行研究やすでにテスト計算の解析から得られている研究成果を踏まえて,科学的成果を科学雑誌の論文にまとめる.時勢を鑑みて,少なくとも年度後半には活発に海外への研究会や研究機関に出向き,研究成果の発信をおこなって行きたいと考えている.
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