2019 Fiscal Year Annual Research Report
IoTビッグデータの要因分析に基づく将来イベント予測
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19J11125
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川畑 光希 大阪大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | データマイニング / ビッグデータ / 時系列データ / 将来予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
IoTビッグデータを活用した将来予測技術は、産業やWeb等の分野を中心に関心が高まっており、事故の未然防止やユーザエクスペリエンスの改善など、様々な社会問題を解決するための要素技術である。本研究では、様々なモノやヒトの様子を詳細に捉えた時系列データを活用し、設備の非常停止やWebアクセスの集中のような突発的に生じる事象(イベント)の発生を、より高い精度で予測するためのアルゴリズムを開発する。 本年度は主に、時系列データとイベントの因果関係を表現するためのモデル開発に取り組んだ。具体的には、時系列データを構成する典型的なパターンを自動的に発見し、それらの情報を基にイベント発生の兆候を分析することでイベント予測を行う予測モデルを開発した。生産ラインで収集された実データを使用して提案手法の有効性を検証したところ、既存手法と比較してイベント予測精度の改善が見られた。また、提案手法はデータに対するスケーラビリティを有しており、大規模データに対しても高速にパターン検出を行うことができる。今後は他分野のデータに対する有効性を検証し、提案手法の適用範囲を拡大するとともに、新たなデータに対して適応的にイベント予測を行うためのリアルタイムアルゴリズムを開発する。本成果をまとめた論文は、情報処理学会論文誌に採択されている。また、時系列パターン検出に関する論文がACM CIKM2019に採択され、国際的にも高く評価された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はイベント予測のための非線形モデルとその推定アルゴリズムの開発に従事した。提案モデルは時系列データに含まれる典型的なパターンを自動的に発見し、それらの特徴に基づく将来イベント予測を行う。評価実験では、実際に生産ラインで収集された時系列データと設備の非常停止履歴を用いて提案手法のイベント予測精度を検証し、既存手法と比較して大幅な改善を確認することができた。これまでの研究成果をまとめた論文は情報処理学会論文誌に採択されている。また、時系列パターン検出に関する研究論文がCIKM2019へ採択され、国際的にも高く評価された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、時系列ビッグデータを典型的なパターンへと分解することにより、イベント発生に関連の強い特徴を効果的に抽出し、イベント予測精度を改善できることを明らかにした。今後は、Webや生体情報など、より広範囲の分野のデータを使用して提案手法の有効性について検討する。さらに、時系列パターンの数やイベント発生の要因等、刻々と変化する状況に対して適応的にイベント予測を行うためのリアルタイムアルゴリズムの開発を実施する。
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