2019 Fiscal Year Annual Research Report
撮像速度・画素数・光感度・記録枚数積従来比100倍以上を目指した高速撮像素子
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19J11127
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 学 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 電子デバイス・機器 / センシングデバイス / 撮像素子 / 高速撮像 / バーストCDS動作 / 高密度トレンチ容量 / 高速電荷収集 |
Outline of Annual Research Achievements |
撮像速度・解像度・光感度・記録枚数の性能を飛躍的に高めた高速撮像素子を創出するために、1億コマ/秒以上の高速撮像速度と大規模な冷却装置を必要としない低消費電力性能を両立する信号読出し技術、記録枚数を向上させる高密度アナログメモリ集積技術、高光感度を実現する高速電荷転送フォトダイオード技術の研究に取り組んでいる。 本年度は、プレナー型プロセスを用いて画素と高密度アナログメモリアレイを隣接配置したCMOS撮像素子を試作し、速度性能と記録枚数の同時向上の実証に取り組んだ。 撮像速度については、受光部であるフォトダイオードで発生した光電荷を電荷電圧変換部に常時転送し、転送中に2回以上信号をサンプリングすることで熱ノイズ除去と高速撮像を両立する、バースト相関2重サンプリング(CDS)動作を導入し、最高1億2500万コマ/秒の高速撮像性能を達成した。なお、バーストCDS動作は撮像中のパルス遷移を最小化できることから、消費電力低減にも好適である。 記録枚数向上については、高密度メモリとして約30fF/um2の容量密度と低リーク電流性能を有するトレンチ型容量を導入し、面積35um×70umの画素あたり368個のアナログメモリを集積することで、368コマの記録枚数を達成した。 光感度の向上については、n型拡散層の濃度差と形状変化によってフォトダイオード端部から電荷収集部に向かって一様な電位勾配を形成する高速電荷収集素子技術を発展させ、端部から電荷収集部までの最大長さを保ちつつ面積を大型化した受光素子を設計・試作し、高速電荷収集性能と光感度向上の両立を確認した。 上記の結果より、次世代型高速撮像素子の創出のための基礎技術の確立の見通しを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
高速電荷収集型フォトダイオードを有する画素と高密度・低リーク電流なトレンチ型アナログメモリアレイを隣接配置したCMOS撮像素子を設計・試作し、超高速撮像に好適な信号読出し方式でありバーストCDS動作を提案・導入することで1億コマ/秒を超える速度性能と368コマの記録枚数の両立ができた。また、大型化した高速電荷転送フォトダイオードの設計・試作によって光感度向上が確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、これまでに創出した高密度アナログメモリアレイを画素に隣接配置下CMOS撮像素子の性能最適化を行うとともに、消費電力削減のための読出し方式の最適化に取り組む。また、光感度向上のためのフォトダイオードの大面積化・裏面照射化についても、シミュレーションと実デバイスの設計・試作によって取り組む。 上記の成果と画素単位3次元積層技術を融合した積層型に資する高速撮像素子を設計・試作し、撮像速度・画素数・光感度・記録枚数積を従来の100倍以上を達成する高速撮像素子の設計・製造技術を確立する。
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