2019 Fiscal Year Annual Research Report
人物への選好形成における予測過誤を扱う認知的機構の解明
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19J11199
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
米満 文哉 九州大学, 人間環境学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 感情 / 選好 / 顔認知 / 身体運動 / 予測過誤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は選好がどのように形成されるのかということについて,選好が低下する要因に着眼し,同一空間内に全く同じ顔の人物(多重重複顔)が複数存在すると不気味さが喚起される「クローン減価効果」という現象を切り口に,予測過誤による人物への選好低下という観点から検討するものである。本年度は,以下の二つの点について検討を行った。 (1) 予測過誤対象を観察する際のシーンリアリティの影響を検討 予測過誤を起こす対象 (多重重複顔) を観察するシーンのリアリティの影響を検討した。そのために多重重複顔が存在するシーンのリアリティが低いアニメ条件と多重重複顔が存在するシーンのリアリティが高い写真条件で多重重複顔への不気味さを評定させる実験を行った。その結果,リアリティの低い条件の多重重複顔は高い条件よりも不気味さが低く評定された。このことは,リアリティが低いシーンでは,多重重複顔を予測し得るため,選好の低下が弱まること示唆する。 (2) 予測過誤対象への回避行動を検討 多重重複顔が「回避反応」を生起させるという仮説を検証するために,多重重複顔を観察する際に回避に関わる身体運動が促進されるかを検討した。そのために,対象への感情反応と接近・回避運動との関連を測定する接近・回避課題を用いた。具体的には,ディスプレイに多重重複顔の画像が呈示された際にはジョイスティックを身体から離れるように奥に倒し (回避行動),全員異なる顔の人物が写る (非重複) 画像が呈示された際にはジョイスティックを身体に近づけるように手前に引く (接近行動) ことを参加者に教示した。また,これとは反対の条件も設けた。実験の結果,多重重複顔画像が呈示されたときに,ジョイスティックを奥に押し倒す反応時間 (回避行動) が非重複画像より短くなった。したがって,予測過誤の対象が回避反応と強く結びついていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,予測過誤対象の選好低下について観察シーンのリアリティや身体運動に着目して検討を行い,一通りの研究成果を得ることができた。しかしこれらの研究についての英語論文の投稿を本年度中に行うことができなかったため,やや遅れていると判断した。これらの点について次年度への課題とし,早急に論文投稿を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書の通り,多重重複顔は滅多に存在しないという予測の成立と,その予測との過誤による選好低下はいつ生まれるのかを明らかにするために,乳児を参加者とした選好低下の形成機序についての発達的検討を行う。
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[Journal Article] Raising the value of research studies in psychological science by increasing the credibility of research reports: The Transparent Psi Project.2019
Author(s)
ekecs, Z., Aczel, B., Palfi, B., Szaszi, B., Szecsi, P., Zrubka, M., Kovacs, M., Bakos, B., Cousineau, D., Tressoldi, P., Grassi, M., Arnold, D., Evans, T., Yamada, Y., Miller, J., Liu, H., Yonemitsu, F., & Dubrov, D.
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Journal Title
Royal Society Open Science
Volume: accepted in principle
Pages: -
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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