2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19J11303
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久良 尚任 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 量子計測 / 量子情報理論 / 信号推定理論 / エッジ検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の量子計測技術は少数の数値からなるパラメーターの計測を議論しており、古典的な技術の限界を超えた精密な計測が量子力学により達成可能なことが理論的に証明されている。一方で、関数のような連続的なデータに対する量子計測の優越性についての探索はほとんどなされていなかった。我々は、関数全体の計測を取り扱った前年度の研究を発展させ、関数から特異な変化や構造などの重要な部分を取り出す「エッジ検出」の問題に対する量子計測の効果を明らかにすべく研究を行った。 この研究においては、関数の計測問題は位置に依存する位相シフトをもつ未知関数の推定問題としてとらえられ、エッジ検出はその関数の特定のスケールにおけるウェーブレット変換およびその極値の推定と位置付けることができる。 我々は量子イメージング技術の考え方から着想を得、関数全体を計測するコストを掛けることなくそのウェーブレット変換を直接計測するような計測方法を提案した。さらに、この計測方法の計測精度を理論的に導出し、それが量子力学の基本原理である「ハイゼンベルクの不確定性関係」に由来する限界をもつこと、ならびにその限界が数値シミュレーションの結果と一貫していることを確かめた。量子限界が古典限界を有意に超えるかどうかは計測のスケールに依存しており、量子計測の優越性が限定的に存在していることが確かめられた。 この結果は「少ない計測リソースを用いてより多くの情報を引き出す」ということが特に重要な量子計測技術に対して新たな知見を与えるものであり、とくに重力波検出や量子イメージングといった最先端の実験における計測への応用へと繋がることが期待される。そのため、特に重要な応用分野である量子光学における量子エッジ検出の定式化についても研究を行っており、予備的な結果も一定程度得られている。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(3 results)