2020 Fiscal Year Annual Research Report
実空間・時間分解観測手法の確立による超伝導体中の量子渦の非平衡ダイナミクスの研究
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19J11421
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒川 穂高 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 磁束量子 / 超伝導 / 磁気光学法 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は,本研究の課題である超伝導体中の磁束量子のイメージングに関して,ハイスピードカメラによるパルス電流下での磁束量子の運動の観測についての論文の執筆ならびに,単一磁束量子の観測を目指した実験系の改良を行った. 前者のハイスピードカメラを用いた実験は,最終目標である単一磁束量子ダイナミクスのイメージングに向けた予備実験であると同時に,磁束量子を実時間・実空間で観測し,電流の印加により磁束量子が試料中でどのように運動しているかを明らかにすることを目的として行ったものである.磁束量子のダイナミクスを解明することは,超伝導マグネットへの応用や,超伝導量子ビットをはじめとする超伝導デバイスへの応用を考える上でも重要な問題である.当該年度は,既に得られていた実験結果をもとに執筆した論文がApplied Physics Letters誌に掲載され,かつその論文は同誌のEditor’s pick論文に選出された.加えて「第81回応用物理学会 秋季学術講演会」で論文の内容について講演したところ,応用物理学会の講演奨励賞を授与され,「第68回応用物理学会 春季学術講演会」では同様の内容についての招待講演を行った. また,本研究課題の最終的な目標である単一磁束量子ダイナミクスの観測へ向け,磁気センサの感度向上や振動対策にも取り組んだ.その中で超伝導体の種類を変更する,超伝導体とセンサができるだけ近接するよう配置を工夫する,3 Kまで温度を下げる,光学系を最適化する,振動対策の除振ゴムをとりつける,といった様々な工夫を行ったが,結果としては単一磁束量子の観測に至ることはできなかった.単一磁束の観測そのものは実験的にも報告があるため,原理上は可能と考えられたが,先行研究で使用しているセンサや光学系の違いからくる感度の差が当初の想定以上に大きく,その点が最後まで課題として残るかたちとなった.
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)