2019 Fiscal Year Annual Research Report
組込み指向型脳型人工知能回路の実現とサービスロボットへの応用
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19J11524
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 悠一朗 九州工業大学, 生命体工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 脳型人工知能 / ホームサービスロボット / 扁桃体 / 海馬 / 前頭前野 / FPGA / ハードウェア |
Outline of Annual Research Achievements |
ホームサービスロボットのための,個人の経験に基づいた知識の獲得を行う脳型人工知能モデルを考案した.このモデルは,前年度に考案した扁桃体モデルに加え,本年度より新たに考案した海馬モデルと前頭前野モデルによって構成される.新たに追加した脳器官モデルにより,時系列イベントの学習,およびメンタルシミュレーションによる時系列イベントの予測ができるようになった.これは,ロボットの行動生成に活用することが可能で,ホームサービスロボットに応用する上で重要な機能である.ここで得られた成果については,国内学会で1件の口頭発表を行った. 脳型人工知能モデルのうち,扁桃体モデルについてハードウェア化を行った.ここで設計したハードウェアは,Field Programmable Gate Array(FPGA)に搭載した.設計した扁桃体モデルのハードウェアが,Central Processing Unit(CPU)で動作するソフトウェアよりも高速に動作することを確認した.ホームサービスロボットは,多くのソフトウェアが同時に動作するためソフトウェアの計算資源が逼迫しているのに加え,バッテリーで駆動するため電力が限られる.それゆえにハードウェア化による演算のオフロード,および省電力化は重要である.ここで得られた成果については,国際会議で1件の口頭発表と,1件のデモンストレーション(後述のデモンストレーションとは別件)を行った. 提案する脳型人工知能モデルをホームサービスロボットに搭載し,動作することを確認した.また,ここで作成したシステムの有効性を示すため,ロボットの競技会であるRoboCup@Homeにてデモンストレーション(世界大会1回,国内大会1回)を行った.デモンストレーションでは,レストランのウェイターとして働くロボットが,人の移動経路を予測し,人を回避しながらスムーズに配膳できる様子を披露した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画のうち,海馬モデルのハードウェア実装のみが完了しなかった.これは,当初の計画で実装予定のなかった前頭前野モデルの考案および,扁桃体・海馬・前頭前野モデルの統合に時間を充てたためである.一方で,今後の研究の推進方策で後述するように,次年度より高位合成によるハードウェア設計に切り替える予定である.これにより開発工数を大幅に削減できるため,次年度以降の進捗に大きく影響しないものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
扁桃体,海馬,前頭前野から成る脳型人工知能モデルのハードウェア化を完了させることが本研究の最大の課題である.これまで,ハードウェアの設計はRegister Transfer Level(RTL)で行っていたが,研究計画を完了するために,高位合成によるハードウェア設計を行う対策を取る.RTLによる設計は,効率の高い演算を行うハードウェアの完成が期待できるが,設計に時間がかかる.一方で,高位合成によるハードウェア設計は,RTLの設計と比較して早く行うことができる.
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