2019 Fiscal Year Annual Research Report
溶媒が誘起するタンパク質の遅く大きな構造変化を記述する新規理論手法の開発
Project/Area Number |
19J11525
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷本 勝一 九州大学, 理学府, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
|
Keywords | タンパク質の構造揺らぎ / 分子動力学シミュレーション / 線形応答理論 / 3D-RISM法 / 構造変化 / 混合溶液 / 変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、Linear Response Path Following (LRPF)法とThree-Dimensional Reference Interaction Site Model (3D-RISM)法を組み合わせた新たなシミュレーション手法を開発するために、タンパク質が水やイオン等の溶媒種から受ける摂動を3D-RISM法により得られる溶媒種の分布から計算し、LRPF法に組み込むためのソースコードを作成した。続いて、本年度で開発したシミュレーション手法(以下、LRPF/3D-RISM法と呼ぶ)の有用性を検証するために、ユビキチンの尿素変性に適用した。先行研究から、尿素変性のメカニズムとしてαヘリックスよりもβシート構造の方から優先的に変性が起こることが報告されている。LRPF/3D-RISM法をユビキチンの尿素変性に適用した結果、5本のうち4本のトラジェクトリで300 ns以内に顕著な構造変化を引き起こすことに成功した。一方で比較のために実行した、尿素水溶液環境を模した通常の分子動力学シミュレーションでは400 nsのシミュレーションでも目立った構造変化は見られなかった。顕著な構造変化が見られたLRPF/3D-RISMシミュレーションの4本のトラジェクトリにおける二次構造の変化の過程の詳細を調べたところ、βシート構造の部分はシミュレーションの進行と共にランダムコイル構造へと変化した一方で、αヘリックス構造の部分にはほとんど変化が見られず、シミュレーション時間全体にわたって構造がほぼ維持されていた。以上の結果は、尿素水溶液中ではβシート構造の方から優先的に変性が起こるという尿素変性のメカニズムをLRPF/3D-RISMシミュレーションが再現していることを示唆している。得られた研究成果は現在論文として国際誌に投稿準備中である。
|
Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
|
Research Products
(5 results)